2022年アジアのヘッジファンド、08年以来で最悪のリターンか
今年のアジアのヘッジファンドは十数年ぶりの最悪の運用成績で終わりそうだ。ユーリカヘッジのデータによると、11月までの成績は平均9.1%マイナスで、この流れが年末まで続けば2008年以降で最悪になる。
ビズサプリグループの三木です。
日本は決済の電子化が遅れているとは言われていますが、それでもここ数年、電子決済はかなり身近になってきました。以前よりあったクレジットカードやデビットカードに加え、バーコード決済、及び交通系カードなどに代表される電子マネーがあり、多種多様な電子決済手段が選べるようになりました。また、少し毛色は違いますが暗号資産もあります。
最近ではそれらに加え、いよいよ日本銀行がデジタル円の発行を検討しているという話があります。今回は、こうした動きについてお話しします。
上述したように、ひと口にデジタル通貨といっても多様な種類のものがあります。
まず、(これをデジタル通貨に含めるかどうかは異論もあるかもしれませんが)古くから利用されてきたクレジットカード、デビットカードがあります。これはご存じの通り、通貨というよりもクレジットカード会社を通じて立替払いしているようなものです。利用者は利用分だけクレジットカード会社に対して債務を負い、利用店はカード会社に対して債権を持つことになります。
次にいわゆる電子マネーがあります。EdyやWaonなどの流通系のもの、SuicaやPasmoなど交通系のものなど種類は多彩ですが、いずれも実態は運営会社に対する預け金です。楽天PayやPayPayなどのバーコード決済もありますが、媒体がICチップかバーコードかという技術の違いはあれど、預け金という債権債務を通じて決済を行っている点は同じです。
また、これに類似したものでTポイントなどの店舗系のポイントもあります。これは各企業が利用度に応じて顧客に付加するものですが、顧客と企業の間の債権債務という点ではEdyやSuicaなどと類似しています。
以上のように、現在いわゆる電子マネーとして広く使われているものは、法定通貨をデジタル化し、運営企業を通じた債権債務として処理するという点が共通の枠組みとなっています。「デジタル通貨」と言われてイメージするもの大半はこの枠組みで運営されていますが、この枠組みと異なる存在が暗号資産と中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)となります。
暗号資産はデジタル通貨と同じように決済手段として使うことは可能ですが、そもそも円やドルでは根本的に異なります。
円やドルは法定通貨として各国の中央銀行が発行しています。これに対し暗号資産は中央銀行が発行しておらず、国家という裏付けがありません。金本位制の時代と異なり円やドルも中央銀行が価値の保証をしているわけではありませんが、円やドルは最終的には発行母体である中央銀行の負債であるのに対し、暗号資産は誰の負債でもないため、金融政策による制御が難しい側面があります。
日本銀行が発行の研究をしているものがCBDC(Central Bank Digital Currency)と呼ばれるものです。従来のデジタル通貨は法定通貨をデジタル化したものですが、CBDCは法定通貨自体を電子的に発行するという違いがあります。
完全にCBDCに移行すると、極論を言えば銀行の普通預金は不要になります。銀行口座が無くてもデジタルで各種決済ができるようになりますし、現金が不要になり盗難リスクが激減します。利用履歴も残りますのでマネーロンダリングなどの抑止にもつながるでしょう。
しかしながら、CBDCは簡単に発行できるものではありません。日本銀行では2020年10月9日に公表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」に従って実証実験を重ねており、従来のデジタル通貨と違う課題として以下を挙げています。民間のデジタル通貨に比べて確実性の要件レベルが非常に高いことが分かります。
・ユニバーサルアクセス:特定の端末やカードへの依存を減らし誰でも使えることが必要
・セキュリティ:偽造紙幣の防止と同様の偽造耐性が必要
・強靭性:24時間365日、災害時でも使える強靭性が必要
・即時決済性:速やかに決済完了させるシステム性能と拡張性が必要
・相互運用性:民間決済手段と相互運用可能であることが必要
これまでCBDCを発行した国は、カンボジアとバハマとなっています。上述したような要件が厳しいため、なかなか大国では発行が簡単ではないのが実情です。
日本においても発行タイミングは見通せない状況です。2022年11月開催の「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会 第4回会合」の資料によると、CBDCに対する日本銀行のスタンスは、「現時点でCBDCを発行する計画はないが、決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後の様々な環境変化に的確に対応できるよう、しっかり準備しておくことが重要」とのことです。
CBDCの発行には、通貨のヘゲモニー争いという側面もあります。具体的にはデジタル人民元との競争です。中国も現在CBDC=デジタル人民元の実証実験を行っていますが、単純な利便性の追求だけではなく、グローバル経済における基軸通貨としての人民元の地位向上や、取引追跡が容易である点を生かしての経済統制の強化が狙いにあると言われています。このような経済のインフラである通貨制度での主導権争いに、日本円も手こまねいてはいられないという事情があります。
もっとも中国も、もとをただせばFacebook(メタ社)が発行する暗号資産「Libra」が中国経済に拡大して統制が取れなくなることを警戒してデジタル人民元の発行検討を加速したと言われています。デジタル化した決済基盤を押さえれば経済圏の囲い込みができるため、デジタル通貨は民間レベルでの争いから国家レベルでの争いになってきているのが今日の状況と言えます。
文:三木 孝則(ビズサプリCEO 公認会計士)
株式会社ビズサプリ メルマガバックナンバー(vol.164 2022.12.7)より転載
今年のアジアのヘッジファンドは十数年ぶりの最悪の運用成績で終わりそうだ。ユーリカヘッジのデータによると、11月までの成績は平均9.1%マイナスで、この流れが年末まで続けば2008年以降で最悪になる。
9月15日、ソフトバンクグループは、アリババ株式の譲渡で、2023年3月期の単体決算に約2兆6000億円の売却益を計上することが確定したと発表した。