「ラスク・フランス」を主力としていた洋菓子メーカー「シベール」が、1月17日に民事再生法の適用を申請しました。負債総額は19億6500万円。2004年に南青山に出店、2005年の上場当初はメディアに取り上げられるなど、相当な勢いがありました。2008年8月期には売上高44億5300万円を計上しています。しかし、その後失速。2018年8月期の売上高は、最盛期のおよそ40%減の26億7000万円まで落ち込んでいました。背景には「ラスク・フランス」に代わるヒット商品を打ち出せなかったことと、お中元やお歳暮などの贈答習慣の変化、競合商品の参入で商品が売れなくなったことが挙げられます。

今回、シベールのスポンサーとして名乗りを上げたのが、飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を続けているパン・菓子企業の「オールハーツ・カンパニー」です。同社は15坪のパン店から始まり、マジカルチョコリングのスマッシュヒットで85億円の売上高をたたき出した新星。M&A戦略に積極的な姿勢を示す同社の手で、シベールは再建を果たすことができるでしょうか?

1年以内に返済する借入金が現金・売掛金の3.3倍

シベールが倒産した理由は、直近の貸借対照表をみるとわかりやすいです。下は直近の決算短信から、流動資産の部分を取り出したものです。黄色の箇所に注目してください。

「現金及び預金」と、1年以内に現金化できる「売掛金」の合計額は、1億7500万円です。

シベール2019年8月期第1四半期決算短信
シベール2019年8月期第1四半期決算短信より抜粋

次に負債の方を見てみましょう。1年以内に返済しなければならない、「短期借入金」と「1年以内に返済予定の長期借入金」が、合計で5億7900万円に上っています。

すぐに返済期限を迎える借入金が、現金と売掛金の3.3倍。これに加えて、未払い金が法人税も含めて1億1600万円、買掛金、リース債務が1億円。これらを合わせると、1年以内に支払わなければならない合計額は、7億9500万円です。現金と売掛金の4.5倍もの負担になります。

棚卸資産などを含めた流動資産すべて合わせても、3億1600万円。資金がショートし、追加融資も受けられずに倒産へ至ったと考えられます。

次に、同社がどれほどの借金を抱えていたのか検証してみましょう。凄まじい額の有利子負債に苦しめられていた姿が浮かび上がってきます。

6ヶ月でも危険といわれる有利子負債月商比率が11ヶ月に

まずは、有利子負債依存度を見てみます。金融機関が融資先の返済能力を計算するときに使うものです。数値が低いほど安全性が高く、50%付近になると危険ゾーンに入ってくるといわれています。計算式は以下のようになります。

有利子負債依存度=有利子負債(短期借入金+長期借入金+社債)÷総資産×100

シベールは58.7%です。危険水域といわれる50%を軽々と飛び越えています。

次に、有利子負債月商比率をみてみます。有利子負債が月商の何か月分になっているか計算するものです。通常、3ヶ月を超えると金利負担が重くなり、6ヶ月になると資金繰りに窮するといわれています。

シベールの有利子負債合計額は16億8000万円でした。直近四半期の売上高はおよそ6億円。1ヵ月あたり1億5000万円ですので、有利子負債月商比率は11ヶ月となります。返済できる余力はなく、もはや再起不能の状態にまで陥っていたことがわかります。

さらに同社は、9億5800万円の借り入れに対する担保として、土地・建物(簿価22億6300万円)を提供したと、2018年11月に発表しています。金融機関側からみれば、とれるものを取りつくして、追加の融資ができなくなったということでしょう。