てるみくらぶが配当の見込み 時期や配当率は未定

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てるみくらぶの破産で約8万人の旅行者が巻き込まれた

てるみくらぶ、配当が可能に

公開日付:2018.05.29

 5月28日、午後2時から(株)てるみくらぶ(TSR企業コード:296263001、東京都、2017年3月破産)とグループ2社の第2回債権者集会が東京地裁で開かれた。
 昨年11月の第1回債権者集会で山田千賀子社長(当時)は、「嘘に嘘を重ねた」と粉飾決算を認めながらも、債権者の「詐欺ではないか」との問いには否定を続けていた。しかし、債権者集会から2日後、警視庁は山田社長を詐欺の疑いで逮捕。今年の5月、検察は懲役8年を求刑している。  社長不在のなか開かれた第2回債権者集会で破産管財人は、銀行から預金の返還、航空会社から販売奨励金の受領、税金還付などで配当の見込みが立ったことを明らかにした。
 5月2日より、一般旅行者を中心した数万人の債権者に対して、裁判所からの債権届出書の送付が始まっている。関係筋によると、「てるみくらぶ」の破産管財人室(電話03-3499-7555)には1日100件を超える問い合わせが寄せられているという。
 第2回債権者集会は異例な雰囲気で始まった。空席の破産者席の隣に、破産者代理人の柴原多弁護士、破産管財人の土岐敦司弁護士らが着席。第1回債権者集会の約500名には及ばないが、今回も約150名の債権者が集まり、関心の高さをうかがわせた。
 冒頭、破産管財人が資産の換価状況、今後の見通しなどを説明した。第1回債権者集会以降の資産換価状況は、「三井住友銀行と借入金相殺後の残高6,908万円の預金返還を受けることで合意。大韓航空からは販売奨励金2,996万円の支払いを受けた。さらに、5月1日までに過年度の更正請求等で2億31万円の税金還付を受け、さらに約1,800万円が還付予定」という。
 資産の換価で「配当が可能になった」(破産管財人)と判断。5月2日から債権者に破産債権届出書などの書類送付を始めている。破産債権届出書の提出期限は7月13日まで。破産管財人は、「配当率、配当時期などはまだ決まっていない」と述べた。

債権届出書とは

 破産債権届出書は、債権者名や届け出る債権の種類と金額、内容、証拠書類などを記載して提出する。提出された書類を破産管財人が債権認否し、債権額が確定する。その後、破産会社の配当比率が決まるが、破産の場合、一般的には数パーセントの配当が大半。だが、届出書を提出しなければ配当は得られない。
 次回(10月17日)の第3回債権者集会では債権認否が終了しているとみられ、おおよその配当率も公表される可能性がある。
 約8万人の旅行者が巻き込まれた前代未聞の破産事件の終焉まではまだ先が長い。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年5月30日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

東京商工リサーチ「データを読む」より

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