数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
・・・・・
「会計士・税理士のための伝わるプレゼン術」 眞山徳人著、中央経済社刊
こんなことはないだろうか。受け取ったプレゼン資料が「字が小さすぎて読めない」「レイアウトがごちゃごちゃしている」「何が言いたいのかわからない」…。
せっかくのセミナー受講も途中で脱落。「なんか、わかったようなわからないような。」「後で太字のところだけ確認しよう。」「〇〇さんに概要を聞けばいいや」…。
本書は「会計士」と「税理士」を対象に「伝わるプレゼン術」について書かれためずらしい本である。
対象を「会計士」「税理士」に限定しているだけでなく、資料作成はもちろんのこと、滑舌や表情筋のトレーニングまで触れている点が非常にユニークだ。
筆者は公認会計士。本書を通じて会計士・税理士がプレゼンテーションに対する苦手意識を払しょくすることが出来れば、結果として受講者の会計・税務に対する理解を深めることにつながる、という思いで執筆したそうだ。
本書では、プレゼンテーションの目的は「情報提供」と「説得」であり、この2つの目的を達成するためには、会計士・税理士ならではの三重苦を取り除いてプレゼン資料を作成すべし、と説いている。
その三重苦とは、
・私たちの話はたいてい難しい(新会計基準、税制改正など)
・聞き手のレベルはたいていバラバラ(CFOから経理1年生まで)
・個人差はあれど私たちはたいていシャイ
ということだ。
また、こんなデータも。プレゼンテーションの本場であるアメリカでさえ、95%の人が話し方に何らかの苦手意識を持っているという調査(結果)があるそうだ。
そうであれば、本書でプレゼンテーションの伝え方を学ぶことで、早々に上位5%に入ることができるというわけだ。
とはいえ、プレゼン技術の習得に力を入れすぎないように、とのアドバイスも。筆者はこう言っている。
「私たちの売り物は声や表情ではなく、あくまで会計・税務に関する知識です。時間をかけて磨き上げるべきなのは、むしろその知識のほうであって、伝え方はどこまでも「おまけ」で構いません。」
読者特典ダウンロードもあり、至れり尽くせりだ。また、筆者のYouTubeチャンネルでもプレゼン資料のコツについて紹介しているので、興味があれば視聴してみてはどうだろうか。(2022年6月)
文:M&A Online編集部
代企業において重要な経営資源のひとつである組織能力を企業再編によって「他社に移転することができる」ーもっと簡単に言えば「組織能力は移転することができる」のだという。
エイチ・ツー・オー リテイリングとオーケーが、関西スーパーを巡って繰り広げた争奪戦をまとめ上げたのが本書。日本企業が株主総会のあり方を考えるうえで、参考になる一冊といえそうだ。