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「関西スーパー争奪 ドキュメント 混迷の200日」|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
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関西スーパー争奪 ドキュメント 混迷の200日 関西スーパー争奪取材班、日本経済新聞社刊

発泡スチロールトレイの導入や、精肉の計量器開発など全国のスーパーのお手本となる施策を次々と打ち出し、関西地域の顧客から高い支持を得ていた関西スーパーマーケット。

この関西スーパーを傘下に収め関西進出を目論む、関東圏で食品スーパーを展開するディスカウント大手のオーケー。

さらにオーケーの思惑を阻止しようと立ち上がった、阪急阪神百貨店を中心に事業を運営する関西地盤のエイチ・ツー・オー リテイリング。

この3社が、取引先の卸業者や食品メーカーを巻き込み繰り広げた法廷闘争を、日本経済新聞社の記者15人からなる取材班が「関西スーパー争奪戦」として、その経緯をまとめ上げた。

関西スーパー争奪 ドキュメント 混迷の200日

関西スーパーは、オーケーの買収提案を退けるため、エイチ・ツー・オー子会社のイズミヤと阪急オアシスの両社と経営統合することを決め、臨時株主総会に諮った。

当初、エイチ・ツー・オー側は、経営統合提案は大差で可決できると余裕を持っていたが、オーケー側の攻勢で、安定株主と思われていた取引先持ち株会や食品卸の大手企業が次々に態度を転換。

経営統合提案が承認されるか否かは、臨時株主総会の投票結果次第という事態にまで追い込まれた。投票の結果は、可決に必要な3分の2を0.02ポイント上回る僅差で経営統合提案が承認された。

ところが、1週間後に臨時株主総会の議長が棄権票を賛成票としてとして取り扱っていたことが判明。このためオーケーが統合手続きの差し止めを求める仮処分を神戸地裁に申し立てる事態に発展した。

神戸地裁は統合手続きを差し止める仮処分を決定。その後大阪高裁は神戸地裁の決定を覆し、仮処分を取り消し、最高裁が大阪高裁の決定を認めたため、臨時株主総会の決定が確定した。

最高裁の判断が示された翌日、関西スーパーはイズミヤ、阪急オアシスと経営統合した。オーケーによる買収提案からおよそ200日後のことだった。

本書はこの間の舞台裏を関係者らの証言をもとにまとめてあり、総会の運営方法や議決権の取り扱い方、安定株主の存在など、いくつもの問題点を浮き上がらせている。日本企業が株主総会のあり方を考えるうえで、参考になる一冊といえそうだ。(2022年4月発売)

文:M&A Online編集部

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