増補改訂版「起業のエクイティ・ファイナンス」|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

起業のエクイティ・ファイナンス 増補改訂版 - スタートアップを成長させる「インセンティブ」の設計図 磯崎 哲也著、ダイヤモンド社刊

本書は、2014年刊行の初版「起業のエクイティ・ファイナンス - 経済革命のための株式と契約」を8年ぶりに全面改訂し、「インセンティブ設計としてのエクイティ・ファイナンス」という観点から図表を含み大半を書き直した。

筆者が今回「インセンティブ設計」を全面に打ち出したのは、スタートアップが成長するための最も重要な要素は「優秀な人を引き込む」ことであり、そのためには「インセンティブ設計」に配慮すべきだという考え方が根底にある。

本書は「劇的に変化する日本のスタートアップ生態系」「創業時から考えるべき資本政策の注意点」「シード段階の投資実務」「優先株式を使った投資実務」「投資の契約実務」「リストリクテッド・ストック」「スピンオフ、MBOを成功させる」「議決権の異なる株式を用いる dual class」、「日本のベンチャー投資ストラクチャー」「スタートアップの未来ビジョン」の全10章で構成。前作同様に、M&Aの章立てはないものの、全般的にM&Aに関する記述が散りばめられ、本書のターゲット層であるスタートアップに関心がある人はもちろん、M&A業務に携わる人にもお薦めの1冊だ。

事業承継型M&Aの売り手である親族経営が主な中小企業では、株主分散のリスクを防止する制度設計を意識する企業が多い。

一方で本書では、いわゆるExit(出口戦略)を「M&AでもIPOでも」という考え方に基づく制度設計のアドバイスを行っている。これが従来型のM&A解説本と大きく異なる点で、事業承継型M&Aの仲介業務に長年携わる者ほど参考になるだろう。

増補改訂版「起業のエクイティ・ファイナンス」

姉妹書に「起業のファイナンス 増補改訂版」(2015年1月発売)がある。こちらは起業を志す者はもちろんのこと、ベンチャー関係者のバイブルとしても知られた1冊。本書と合わせて読むことで、ベンチャーファイナンスや企業価値に関する理解がより深まるだろう。(2022年7月5日発売)

文:M&A Online編集部

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