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「リノベーション・スタートアップ」|編集部おすすめの1冊
今や「名門大学」と呼ばれる大学で、卒業生の人気進路は「官僚」でも「大企業」でもなく、「起業」という。官僚や大企業のサラリーマンとして社会人人生をスタートする学生の中にも「就職は起業へのステップアップ」と考えるケースも少なくない。その早道は?
数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
「不屈の達磨 社長の椅子は誰のもの」 安生正著、角川春樹事務所刊
主人公の弓波は九州支店から2年ぶりに本社に呼び戻され、5月15日付で秘書室長に就いた。社長の側近として業務を補佐するのが役割だ。ところが、着任早々の弓波に「今年の総会までのあいだ、当社は大揺れになる。君は動揺することなく職責を果たせ」と告げまま、社長は失踪してしまう。6月末の定時株式総会に向けて怒涛の日々が訪れるのだった。
最初の一撃は週刊誌報道。社長の後継問題に絡めて社内抗争のスキャンダルと、中国系投資ファンドとの不透明な関係が暴露されたのだ。
弓波が勤めるジャパンテックパワーは従業員5300人を擁し、太陽光、風力、バイオマスなど再生可能エネルギーの発電施設を開発・運営する。一部上場企業だが、国の肝いりで設立された経緯があり、ただの営利企業ではない。
社内派閥のつば競り合いはますます激しさを増す。次期社長候補の筆頭は副社長の名取、これに対抗する常務の片山。名取に逆らって干された弓波を九州に送ってやり直す機会を与えたのは、実は突如姿を消した現社長だった。
投資ファンドは社内の混乱に乗じて暗躍を強め、物言う株主として過大な株主還元を要求する構えを見せる。しかも、社内のスパイがいるのか、株主総会対策の想定問答集の情報がファンド側に漏れているのだ。
会社が存亡の危機に立つ中、弓波はどう立ち居振る舞うまうのか。傍観者を決め込むのか、それとも自分の将来を犠牲にしてでも会社に尽くすべきか。組織に働く者とっての葛藤が伝わる。
著者は現在、建設会社に勤務する。後継社長を内定する取締役会、あらゆる事態を想定して行われる株主総会対策、そして株主総会当日…迫真の場面が連続する。どんな結末が待っているのか、社長失踪に込められた真相は何だったのか、それは読んでの楽しみだ。(2022年4月発売)
文:M&A Online編集部
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今や「名門大学」と呼ばれる大学で、卒業生の人気進路は「官僚」でも「大企業」でもなく、「起業」という。官僚や大企業のサラリーマンとして社会人人生をスタートする学生の中にも「就職は起業へのステップアップ」と考えるケースも少なくない。その早道は?