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「アキラとあきら(池井戸潤著・集英社文庫)」|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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『アキラとあきら(上)・(下)』池井戸潤 著、集英社文庫(2020年)

累計発行部数72万部を突破した池井戸潤の小説『アキラとあきら』の実写映画が、2022年8月26日より全国公開となる。映画の原作となった同名小説は2017年に徳間書店から文庫本として出版され、同年WOWOWで連続ドラマ化された。ドラマ放映後の改稿を経て2020年8月に集英社から文庫本(上下巻)が再版され、累計部数72万部を突破するなど今なお売れ続けている。

池井戸作品の代表作である『半沢直樹』と同じ「産業中央銀行」を舞台に若きバンカーが各々の宿命に向き合う。文庫版上下巻合わせて約700ページというボリュームもあっという間に読了してしまう面白さだ。

主人公は、父が経営する小さな町工場が倒産し極貧時代を過ごした山崎瑛(やまざき・あきら)と、日本を代表する大企業の跡取り息子として育った階堂彬(かいどう・あきら)。同じ名前を持つ二人が時にぶつかりながら成長するストーリーは、ジェフリー・アーチャー著「ケインとアベル」(こちらの主人公は同じ日に生まれた私生児と銀行家の息子という設定だが)を彷彿とさせる。

池井戸作品ならではの魅力ともいえるM&Aに関する挿話-例えば中堅スーパーの買収話や融資をめぐる決裁など、実務に携わる者が「あるある」と思わず声をあげてしまう場面もある。

「半沢直樹」を筆頭に金融機関を舞台とする池井戸作品に共通するのは「なんのためにカネを貸すのか」という問いかけだ。本作でも下巻にそのセリフが登場する。

映画版では、主人公のアキラとあきらの成長譚を中心に描かれるため、原作から省かれたシーンも多い。映画を観てから読むのもまた良し。仕事へのモチベーションを高めたい方、これから社会人になるという方にもおすすめの1冊である。(2020年8月発売)

アキラとあきら 上 (集英社文庫)
アキラとあきら 下 (集英社文庫)

文:M&A Online編集部

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