2022年4月から6月に出版された「M&A関連本」を紹介します
2022年4月~6月に出版されたM&A関連の書籍や特集記事を組んだ雑誌を紹介します。
数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
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「シリコンバレーは日本企業を求めている」 アニス・ウッザマン、米倉誠一郎著、ダイヤモンド社刊
「失われた30年」と言われるように、このところ日本企業は世界における影響力が低下し続けている。要因は数多くあるが、その一つにイノベーション(技術革新)不足があげられる。多くのスタートアップが生まれ、これら企業の革新性を取り入れ大きく成長した米国企業の姿とは対照的だ。
本書は日本企業がイノベーションを起こし、再び世界に影響を与える存在になるための道筋を示しており、どのようにすればイノベーションを起こせるかの具体策が盛り込まれている。
米シリコンバレーに本社を構えるベンチャーキャピタルを立ち上げたアニス・ウッザマン氏と、法政大学大学院教授で、一橋大学名誉教授の米倉誠一郎氏が共同で執筆した。
米倉氏が、変われない日本の元凶を整理したうで、スタートアップとの連携の可能性について解説。ウッザマン氏が多くのスタートアップが誕生しているシリコンバレーの状況や、イノベーションを実現できない日本企業の現実、スタートアップと連携するための手法(CVC4.0)などについてまとめた。
この中でウッザマン氏は「日本企業は日本国内でぬるま湯に浸かっている余裕はない。慣れ親しんだ環境から飛び出し、異質な相手と手を組む決断を」を呼びかけ、米倉氏は「創造性に優れたシリコンバレーと経営管理・品質管理に優れた日本企業は、最強の相互補完になる可能性が高い」と強調する。
さらにスタートアップとの連携に成功した具体的な事例として、自動車部品メーカーのアイシン、エレクトロニクス商社のイノテック、システムインテグレーターのCACホールディングスの3社の取り組みを紹介。
その一つアイシンでは、2年間に100人以上の部課長クラスのエンジニアがシリコンバレーを訪問し、スタートアップと面談したことで、部課長の意識改革が進み、その後の外部連携が加速した事例を、イノテック、CACホールディングスは、いずれもスタートアップとの連携に至った経緯や戦略などについて説明している。
スタートアップとの連携を模索している企業の経営者や担当者、さらには現場のエンジニアにも、イノベーションのための手法の一つとして参考になりそうだ。(2021年10月発売)
文:M&A Online編集部
2022年4月~6月に出版されたM&A関連の書籍や特集記事を組んだ雑誌を紹介します。
タイ・バーツの急落をきっかけに発生したアジア金融危機の際に、経営が破綻した韓国第4位の銀行である韓国第一銀行を、米国の投資ファンドが買収した。この交渉過程の一部始終を描いたのが本書だ。