数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
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M&A後の組織・職場づくり入門 「人と組織」にフォーカスした企業合併をいかに進めるか 齊藤光弘・中原淳編著、東南裕美・柴井伶太・佐藤聖著、ダイヤモンド社刊
近年、M&A件数は伸びている。一方で買収された企業とのシナジー(相乗)効果が発揮できず、極端な例では巨額の「のれん減損」を強いられて、買い手企業が経営危機に陥るといった「M&Aの失敗」も目立つようになってきた。こうした「もったいないM&A」を少しでも減らしたいとの思いから、実際の現場の調査と学術的な研究をもとにPMI(合併・買収後の統合プロセス)の最適な手法について解説した1冊だ。

こうした「もったいないM&A」は、なぜ起こるのか?その原因の一つがPMIの失敗。「組織が一緒になれば自然になじんでいくだろう」「ビジョンやミッションを策定すれば一つにまとまるだろう」といった甘い見通しでは、組織は一緒になっても「人」はまとまらない。
M&A担当者の中に「人と組織」の専門家チームが入ることはまずなく、PMIは現場のマネジャーに一任されるケースが目立つ。だが、こうした問題は「人の意識や感情」に関わるため、コントロールは難しい。
本書ではM&AとPMIの基礎知識として、日本におけるM&Aの状況とPMIがなぜうまくいかないのかについて説明。続いて組織づくりのレンズ(視点)としてM&A後の組織づくりの要諦を解説する。
さらにM&Aの「前夜」と「直後」そして「3カ月(100日)以降」の段階ごとに、取るべき組織づくりのアクション(行動)を具体的に提案していく。最後にM&AとPMIの専門家インタビューで、具体的なプロセスや問題点について言及している。
本書で一貫しているのは、PMI解説書でありがちな「組織づくりさえきちんとすれば人は自然にまとまる」という「組織決定論」ではなく、組織を支え動かす「人」の意識や感情を重視して細心の注意と十分なケアを払うべきだとする「人間中心論」だ。
M&Aは「高額な投資」である。だが、投資の回収を焦り「1日も早く、1円でも多く稼げる体制づくり」に傾けば、PMIは100日経っても「作業中」のままだろう。「万全の準備」に加えて「人」に不安や不信感を与えることなく地道に作業を進める「急がば回れ」のPMIこそが、最も迅速で確実にM&Aを成功させるカギなのだ。
本書の内容は平易で、M&Aに関わる経営陣や中間管理職だけでなく、現場の一般社員や学生でも簡単に理解できる内容だ。PMIやM&Aに興味がある人なら、誰にでもお勧めできる内容だ。(2022年2月発売)
文:M&A Online編集部
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