数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
「M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か?」 岩崎 日出俊著、KKベストセラーズ刊
最初に本書が新刊ではないことを断っておきたい。出版は2009年10月。前年9月のリーマン・ショックに端を発した金融動乱の最中のことだ。時は流れて今日、コロナ・ショックに向き合って3年となるが、M&A市場のすそ野はますます広がりを見せている。

本書のタイトルが示すように、21世紀の到来とともに、企業経営者にとってM&Aが「日常」となった。世界規模の大型M&Aが繰り広げられる中で、トヨタや新日鉄(現日本製鉄)が買収ターゲットになり得る可能性も喧伝されたほどだ。
映画「ハゲタカ」(2009年公開)。中国の国家ファンドが日本最大の自動車会社「アカマ自動車」に買収を仕掛けるストーリーだが、当時、経済モノの映画として異例のヒットとなった。M&Aをめぐる時代の高揚感が伝わってくるかのようだ。
2000年半ば、日本の経済界が大騒ぎしたのが三角合併の解禁論議。外資が大挙して日本企業を買い叩きに来ることを恐れるあまり、株式持ち合いを強化する動きが広がった。これに対し、著者は日本企業に狙いを定めた場合、徹底して攻めてくるのが外資だとして、小手先の買収防衛策など役に立たないと言い切る。
「バドワイザー」で知られる米国最大のビール会社、アンハイザー・ブッシュがベルギーのインベブに5.2兆円で買収されたのは2008年。全米がこぞって買収に反対したものの、資本の力に抗することができなかった。
世界の鉄鋼業界を震撼させたのは2006年、インドのミタル製鉄による欧州鉄鋼大手アルセロールの買収。アルセロールは新日鉄を上回る生産量を誇っていたが、新興メーカーの軍門に下ったのだ。買収金額は3.3兆円。新日鉄に緊張が走ったのも当然だったといえよう。
実は、2000年代は日本のM&A史の残る出来事が相次いだ。敵対的TOB(株式公開買い付け)をめぐって大手企業同士が激突した王子製紙VS北越製紙事件(2006年)、「物言う株主」として一躍時代の寵児となった村上世彰・村上ファンド代表の逮捕劇(2006年)、日本初の買収防衛策発動に発展したブルドックソース事件(2007年)…。
ソフトバンクは2006年、携帯電話の英ボーダフォン日本法人を1.9兆円で買収して、今日の通信キャリア3強の一角を形成する礎を築いた。日本たばこ産業(JT)は2007年、英国たばこ大手のギャラハーを2.25兆円で買収した。後に東芝を窮地に追い詰めることになる米原子力企業ウェスティングハウス(WH)の買収(約6200億円)も2006年のことだった。
リーマン・ショック後の2009年に浮上したキリンとサントリーの経営統合。本書でも紙幅を割いているが、この統合は幻に終わった。
日本のM&A史の一コマを知るうえで重宝する一冊。著者は日本興業銀行出身。J.P.モルガンなど外資系の投資銀行の勤務経験も豊富で、長年M&Aに携わった。
文:M&A Online編集部
本書は日本企業がイノベーションを起こし、再び世界に影響を与える存在になるための道筋を示しており、どのようにすればイノベーションを起こせるかの具体策が盛り込まれている。
2022年4月~6月に出版されたM&A関連の書籍や特集記事を組んだ雑誌を紹介します。
代企業において重要な経営資源のひとつである組織能力を企業再編によって「他社に移転することができる」ーもっと簡単に言えば「組織能力は移転することができる」のだという。
エイチ・ツー・オー リテイリングとオーケーが、関西スーパーを巡って繰り広げた争奪戦をまとめ上げたのが本書。日本企業が株主総会のあり方を考えるうえで、参考になる一冊といえそうだ。
あなた自身がM&Aを検討している場合、あるいは、あるM&A案件の有用性を外部または内部に説明しなければならない立場である場合、「新版 企業戦略論 戦略経営と競争優位(下)」は役に立つだろう。
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今年も1月~3月の3カ月間で、40冊以上の書籍やM&Aの特集記事を組んだ雑誌が出版されました。
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