数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
[新版]企業戦略論 戦略経営と競争優位【下】全社戦略編 ジェイ B.バーニー著、ダイヤモンド社刊
あなた自身がM&Aを検討している場合、あるいは、あるM&A案件の有用性を外部または内部に説明しなければならない立場である場合、本書は役に立つだろう。
原著者のジェイ B.バーニーは、リソース・ベースト・ビュー(資源ベース理論;RBV)の第一人者であり、原書は欧米のビジネススクール(MBA)でも使用されている。日本では18年ぶりの改訂新版として出版された。
![[新版]企業戦略論【下】全社戦略編 戦略経営と競争優位](https://drdo50jm8vowu.cloudfront.net/uploads/contents/2022-04/RackMultipart20220415-4587-1oulvu5.png)
本書は、基本編(上)、事業戦略編(中)、全社戦略編(下)の全3巻から構成されており、下巻はVRIO分析というフレームワークを用いて「垂直統合」「多角化」「経営多角化に向けた組織体制作り」「戦略的提携」「合併・買収」の5章立てとした。
実際のM&A事例を取り上げ、ケーススタディーの形式で経営戦略論の観点から解説しており、頭に残りやすい。各章のはじめに到達目標を示し、押さえるべきポイントを頭に入れて読み進めることができる。また各章の終わりには、チャレンジ問題と演習問題を用意し、理解度をチェックできる。
バーニーが考案したVRIO分析は、ポジショニング理論(どの領域で勝てるか)と資源論(内部資源から経営戦略を考える)を統合し、意思決定のフレームワークに活用できる。この「VRIO」とは、経済的価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣可能性(Imitability)、組織(Organization)という4つの切り口から、その資源が企業の競争優位の源泉になりうるかを分析し、すべての条件が満たされると業界標準を上回る収益が期待できると結論づけている。
VRIO分析の結論は、「そりゃそうだろう」と誰もが思い、「それができていれば苦労しないよ」と言いたくなるだろう。とはいえ企業あるいは事業分析のツールとして利用価値があることは本書を読めば明らかだ。
また、前書きで述べているとおり、類書(例えばポーターの経営戦略論など)ではあまり扱うことのない事項(M&A)についてページを割いている点が特徴的であることは間違いない。
繰り返しになるが、M&Aを検討している経営者や事業会社の担当者はもちろんのこと、M&A実務のベテランであっても「合併・買収がこれほど多いのはなぜか」、「フリーキャッシュフローが他社を買収する動機となる理由を説明せよ」といった設問に即答できないなら、本書を一読する価値はあるだろう。(2021年12月発売)
文:M&A Online編集部
企業買収は買収成立がゴールではなく、そこがスタートとなる。文化の異なる2社の経営を統合する作業がそこから始まるからだ。本作品はフィクションだが、PMIを追体験できる内容に仕上がっている。
今年も1月~3月の3カ月間で、40冊以上の書籍やM&Aの特集記事を組んだ雑誌が出版されました。
タイ・バーツの急落をきっかけに発生したアジア金融危機の際に、経営が破綻した韓国第4位の銀行である韓国第一銀行を、米国の投資ファンドが買収した。この交渉過程の一部始終を描いたのが本書だ。
2021年に出版されたM&A関連や事業承継をテーマにした本をすべて紹介します。
武田勝頼、上杉景勝、北条氏政ら戦国武将12人が行った事業承継やブランディング、人事、生存戦略などを、SWOT分析の手法を用いて、現代のビジネスで参考になるようにまとめた。
「事業承継を検討している経営者が法務、税務の観点から最適解を発見できることを目的にまとめられたのが本書。同時に税理士や金融機関、コンサルティング会社の担当者らにも参考になるように仕上げてある。
コロナ禍で出版不況と言われるなかでもM&Aをテーマにした書籍の発刊が相次いでいます。最近出版(2021年7-9月)されたM&A関連本をまとめました。
M&Aで失敗しないための実践的な対応策を啓蒙することを目的に、20人を超えるM&AのプロがM&Aに携わる企業担当者や専門家ら向けに、本格的なM&A実務解説書としてまとめ上げた。