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【500 Startups Japanトップインタビュー】<2>500 StartupsがJapanをPassしないこれだけの理由
500 Startups Japanトップインタビュー第2回。「Japan Passing」 の風潮があるという中、この時期になぜ日本向けファンドを設立したのか、そして日本での戦略について聞いた。
M&Aを増やすために、とくに力を入れるのがクロスボーダーM&Aの促進だ。「日本のベンチャーを海外企業が買収をする道をつくりたい」と澤山氏は意欲を示す。
これは、前回に挙げた、「日本企業を海外に発信する」という目標とも関連する。日本のベンチャーが海外企業に発信されることによって当然、買収対象にもなるだろう。
さらに、世界60カ国、1500社の投資先を持つ11カ国の500 Startupsのネットワークを生かし、買い手となる大企業を紹介するなど具体的な促進活動も視野に入れている。「偶発性に頼らないシステマティックなM&Aを増やす」と澤山氏は話す。
一方、日本ベンチャー企業には、自ら生み育てた会社を売却するということ自体に抵抗感がある場合も少なくない現状がある。それに対して、シードの段階から関わる同社はM&Aについての啓蒙が進めやすい立場にある。起業家の選択肢が増えれば、前述の起業循環(【図1】)がスムーズに回り、イノベーションが増えることも期待される。
また、目指しているクロスボーダーM&Aは海外企業による日本ベンチャーの買収だけではない。日本の大企業による海外ベンチャー買収の促進も視野に入れている。同社の投資先ネットワークとともに、シリコンバレー事情に精通したライニー氏の知見も生かされそうだ。「世界中のあらゆる企業の掛け算を手助けしたい」と澤山氏は言う。
最後に「なぜ日本なんだとよく言われたが、10年後に君は正しかったと思ってもらえるように頑張りたい」(ライニー氏)、「自分ならではのキャリアを生かし、テクノロジーとビジネスの掛け橋の役割を果たしたい」(澤山氏)と、自身の想いを語ってくれた。今後も、500 Startups Japanの動向とともに、同社を率いる2人の活躍に注目したい。 <完>
取材・文:小林麻理/編集:M&A Online編集部
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第2回 500 StartupsがJapanをPassしないこれだけの理由
写真左:代表兼マネージングパートナーJames Riney氏
略歴:500 Startups Japan代表。J.P.モルガンに勤務の後、「ビリギャル」を世に送り出したSTORYS.JP初代CEOを務める。次にDeNAの投資部門に移り、初期段階の国際投資を担当。DeNAのタイ、インドネシア、フィリピン、インドへの出資を主導した。その後500 Startups Japan立ち上げに関わり現職。
写真右:マネージングパートナー 澤山 陽平氏
略歴: JPモルガンの投資銀行部門においてTMTセクターの資金調達やクロスボーダーM&Aのアドバイザリー業務に携わった後、野村證券の未上場企業調 査部門である野村リサーチ・アンド・アドバイザリー(NR&A)にてITセクターの未上場企業の調査/評価/支援業務に従事、2015年12月よ り500 Startups Japanのマネージングパートナーに就任
ベンチャーキャピタル 500 Startups Japan: http://500startups.jp/
500 Startups Japanトップインタビュー第2回。「Japan Passing」 の風潮があるという中、この時期になぜ日本向けファンドを設立したのか、そして日本での戦略について聞いた。