<ハイライト:外国籍社員ビザ取得事務代行サービスのTeleborderをTriNetが買収 >

 先週、中小企業向け人事管理代行サービスのTriNetがTeleborderを買収しました。TriNetは、いわゆるPEO(Professional Employer Organization)として、顧客企業の従業員の雇用を肩代わりするサービスを提供しています。PEOは、日本ではなじみのない仕組みですが、アウトソーシング業者が顧客企業の従業員を共同雇用して、給与計算、福利厚生、コンプライアンスなど、バックオフィス業務一切を請け負います。日本の人材派遣に似ているようにも見えますが、従業員すべてが対象となるため、正社員でありながら派遣されているような形となります。顧客企業は本業に専念することができ、従業員の福利厚生も充実できるため、シリコンバレーのベンチャー企業でも採用が進んでいます。

 米国は、健康保険ひとつをとっても制度自体が複雑であり、プランの内容もさまざまです。会社単位で加入するグループ保険も、加入者数などで料金その他が変わってくるため、TriNetのような大手のPEOに所属することで、より有利な条件で保険に入ることができ、それが従業員の採用や定着に寄与することになります。米国のハイテク業界では、中国やインドをはじめとする外国出身の技術者たちが大きな役割を担っています。しかし、国家安全保障や国内雇用維持の観点から移民政策は厳格化しており、多くの企業が限られたビザの発行枠を取り合う状況が続いています。ベンチャー企業にとっても外国籍社員のビザ取得支援は重要課題であり、今回のTeleborder買収はそういったニーズに対応する動きといえます。

 Teleborderは、2013年にカリフォルニア州San Franciscoで設立されました。Linkedinによると従業員数は7名以上で、スタッフには移民専門弁護士も含まれています。買収前の事業内容は、国際的な従業員の雇用、管理、定着を支援するプラットフォームの提供となっていました。投資家として、Y Combinatorや500 Startupsといったインキュベータやアクセレレータ、Khoslaなどのベンチャーキャピタル、さらに日本のリクルートが名を連ねています。既にTeleborderのウェブサイトはTriNetのものに統合されていて、TriNetブランドで国際人材ソリューションを提供しているようです。

 TriNetは、1988年にカリフォルニア州San Leandroで設立されました。Linkedinによると従業員数は2,821名以上となっています。昨年末時点で、採用顧客数は12,000社を超えており、年間310億ドルの給与計算を処理しているそうです。TriNetは、もともとM&Aを繰り返して、事業を拡大してきました。とりわけ05年にPEファンドのGeneral Atlanticから出資を受けてからは、14年に株式公開するまでの9年間に8社を買収しています。中でも、Ambrose(ヘッジファンド・法律事務所向けPEO)、AccordHR(中小企業向けPEO)、SOI(現場作業員が多い企業向けPEO)は現在の事業の柱となっています。

 TriNetは一昨年3月にニューヨーク証券取引所に上場しており、その時に「米国IPO週報」で取り上げた情報は下記の通りです。

TriNet Group(NYSE: TNET)
・業務サービス(カリフォルニア州San Leandro)
・中小企業向け人事代行サービス;給与計算、福利厚生など
・売上高16億ドル、利益13百万ドル
・2.4億ドル調達、時価総額11億ドル、初日33%上昇(14年3月)
 → その後、売上高27億ドル、利益32百万ドル、時価総額11億ドル(16年4月8日)