だが、どこまでも、というか、県内どこに行っても鳥取銀行には“目の上のたんこぶ”とでも呼ぶべき存在があった。県内トップバンクながら地域ナンバー2に甘んじてきたのである。
鳥取銀行にとって大きな壁は、山陰合同銀行である。たとえば、県の指定金融機関は通常、その県のトップ地銀が担うケースが多い。ところが、鳥取県の指定金融機関は島根県松江市に本店を置く山陰合同銀行が受託している。鳥取銀行はいわば山陰合同銀行の代理という立場、指定代理金融機関である...
群馬県を代表する銀行は、前橋市に本店を置く群馬銀行である。その創業は1932年、群馬大同銀行の設立とされている。昭和期に入ってからの創業は、比較的新しい銀行のような印象を受ける。だが、その「大同」では前橋・高崎の激しい攻防が繰り広げられた。
福島のウォール街。その通りには1899年、東北地方で最初に開設された日銀福島支店がある。福島県のトップ地銀・東邦銀行もその一角に本店を構えている。「国策によって生まれた」銀行だが、県内トップバンクとして独自色を強めた取り組みも行っている。
“ご当地銀行”の合従連衡史の5回目は、岩手県。岩手県には“盛岡のウオール街”と呼ばれる中ノ橋通がある。岩手銀行赤レンガ館、もりおか啄木・賢治青春館、盛岡信用金庫本店。盛岡の中心街、通りに並ぶ往時の銀行建築群から地方金融史をたどっていく。