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【鳥取銀行】青い鳥が運ぶ「地域の絆」|ご当地銀行の合従連衡史

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東京・神田にある鳥取銀行東京事務所。窓口・ATMはなくローンプラザのみ設置している

町の預金を引き揚げる! 支店閉鎖の対抗策

県内トップバンクの座を隣県のトップバンクに奪われ続けているかに見える鳥取銀行。その経営基盤は他の地銀と同様に決して楽観できるものではない。特に最近は、どの地銀も再編の荒波にさらされ、戦々恐々としている。

そこで、これまで地元重視で基盤の再構築に取り組んできた鳥取銀行が、最近になって再編の大鉈を振るった。2018年、鳥取県日南町にある同行唯一の支店(生山支店)について、ATM機を残して撤退する方針を打ち出したのだ。

日南町は鳥取県南西部、人口4100人強のいわば地方の過疎の町である。だが、西は山間部とはいえ島根・岡山・広島各県に接し、鳥取県の西の商都・米子にも近い。県の東端の鳥取市に本店を構える鳥取銀行にとっては、重要な地域の1つであったはずだ。

その日南町から支店を撤退する方針を発表した。日南町としては「一方的で理不尽な対応だ」と対抗策を打ち出す。日南町議会が2018年の時点で鳥取銀行生山支店の移転見直しと窓口業務の継続を求める決議を可決し、同行の経営陣に要望書(2018年9月発議第6号)を提出した。そのうえで町として町の預金、約5億6000万円を解約したのである。

銀行にとって預金の解約は、今日、いかに銀行が手数料ビジネスに重きを置いてきたといっても、融資の“軍資金”が減ることを意味する。町という小規模な自治体、その地域に根ざした銀行の支店でも、それは変わりない。それだけに地元金融界では大きな話題となった。

説明を尽くしてこそ

地銀において、他業態への進出や地域外を含めた他行の連携は、再編において最重要の課題だ。それは、しのぎを削り合う生存競争の様相を呈している。と同時に、本体事業である銀行業務のスリム化も避けては通れない。町としては、そうした事情は理解できるが、事前の十分な説明がなかったということだろう。

結局は鳥取銀行が2019年1月に生山支店のATM機を継続し、窓口業務を他町(日野町)の根雨支店内に置くという当初の方針に則して、一応の決着を見ている。このような地域支店の統廃合と地域住民・企業の反対活動は全国の地銀で起きているのかもしれない。銀行界全体としては地銀と自治体の小さなつば競り合いかもしれないが、地域住民、特に高齢者、地域の中小企業、個人事業主にとっては、大きな痛手でもある。

おそらく5億6000万円の預金は、町内の他行支店や農協などに預け替えたであろう。それが鳥取銀行の県内企業におけるメインバンクシェアを落とす要因の1つになったかもしれない。

鳥取銀行に配慮に欠けた対応があったとすれば、考えるべきことは、その対応の背景に驕りとまではいわないまでも県内トップバンクとしての上辺だけの誠意が感じられない“お役所的”な慣習はなかったか、ということだろう。それを当の役所に指摘されるというのも、皮肉な話ではあるが……。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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