西武鉄道で唯一の「単独路線」はどこにある?

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東京の郊外を走る「西武多摩川線」

東京の西部と埼玉の南西部へ延びる西武鉄道。池袋線と新宿線を二大幹線(本線)とし、合計12路線からなり、総延長176.6キロメートルは日本の私鉄で5番目だ。首都圏で通勤、通学の大動脈を担う同社にあって、意外なことに西武線のどの路線にも接続しない“孤立路線”がある。

他の西武線に接続しない「武蔵境~是政」

その路線は「西武多摩川線」。4両編成。武蔵境駅(東京都武蔵野市)と是政駅(同府中市)の6駅・8キロメートルを単線で結ぶ。JR中央線で新宿から中野、高円寺、吉祥寺などの各駅を経て約25分で、西武多摩川線が乗り入れる武蔵境駅に着く。

西武多摩川線に乗り換え、終着の是政駅までは12分ほど。ただし、是政駅で行き止まり。西武線系統を含めて、どこの鉄道にも接続していない。もちろん、途中駅でも他路線とつながっていない。つまり、10路線を数える西武線の支線の中で唯一、単独で存在するのが西武多摩川線なのだ。

同じJR中央線では武蔵境駅から3駅先の国分寺駅で、西武国分寺線(~東村山駅)と西武多摩湖線(~多摩湖駅)が乗り入れている。西武国分寺線は東村山駅が西武新宿線の本線に、西武多摩湖線は途中の萩山駅が西武拝島線にそれぞれ接続している。

西武多摩川線の終着「是政駅」

西武が旧多摩鉄道を吸収合併

JR(旧国鉄)を除き、鉄道各社は明治期から戦前戦後にかけて合併・買収を繰り広げた歴史を持ち、西武多摩川線も例外ではない。1922(大正11)年に多摩鉄道として全線開通したが、1927年に西武鉄道に吸収合併された。過去には是政駅からの延伸計画もあったようだが、日の目を見ることはなく、今日にいたる。

是政駅の改札を出て、少し歩くと多摩川の土手。目の前に広がる「是政橋」は全長400メートルで、府中街道が走り、向こう側は稲城市。ゆったりした歩道が設けられ、橋を渡りきると、JR南武線の南多摩駅が近くにある。

また是政駅は東京競馬場南門の最寄り駅。是政(これまさ)の地名は一帯を開墾した井田摂津守是政に由来するという。是政の墓は東京競馬場内にある。

多摩川に架かる「是政橋」(対岸は東京都稲城市)

紛らわしい「多摩」と「多磨」

西武多摩川線の武蔵境駅から3つ目が多磨駅。紛らわしいのが「多摩」ではなく、「多磨」である点。多磨霊園で知られる通り、この辺の地名は府中市多磨町。近年は23区内からキャンパスを移転した東京外国語大学、サッカーJリーグやコンサート会場で賑わう味の素スタジアムの最寄り駅ともなっている。15分ほど歩いて、水と緑にあふれる野川公園にも立ち寄りたい。

実は東京人にも、存在がそんなに知られていない西武多摩川線。沿線散策にもってこいのローカルなミニ路線である。

文:M&A Online編集部

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