スタンフォード大学の「サーチファンドスタディー」ってどんなもの?
米国のスタンフォード大学は2年ごとに米国を中心にサーチファンドの動向をまとめ、「サーチファンドスタディー」としてホームページで公開している。
ニューヨーク(ロイター) ― 企業に身売りや事業部門の売却を迫ることが多いアクティビストヘッジファンドが経営トップの交代を要求するケースが増えている。M&A案件が低迷する中での戦術変更と言えそうだ。
調査会社のインサイティアによると、アクティビストファンドは昨年、米国企業の60社に対して退任を要求したという。これは前年比46%増で、2017年以降では最多となる。
「この傾向はM&A活動における全体的な落ち込みを反映しており、金利上昇が経済成長に歯止めをかけていることが影響している」とファンドマネージャーやアドバイザーらは説明する。ディールロジックの調査によると、M&Aの取引総額は2021年に過去最高の5.9兆ドルを記録したが、昨年は3.66兆ドルで37%減となった。
調査会社「13Dモニター」でアクティビストを調査するケン・スクワイア氏は、「経営陣の退任を求めるこうした動きは、昨年S&P 500種指数が20%下落し、ヘッジファンドが企業の株価の値動きに不満を抱いている現状を浮き彫りにしている」と話す。
ヘッジファンド・リサーチによれば、昨年のアクティビストのポートフォリオは平均17%減だった。それ以前の3年間では2ケタの伸びを維持してきただけに、運用成績は不調と言える。
「下落あるいは横ばいの相場では、経営不振に陥るCEOが身を隠せる場所はほとんどない」とスクワイア氏は指摘する。
ここ数カ月で経営トップの退陣要求に成功したヘッジファンドには、ユニオン・パシフィック鉄道のランス・フリッツCEOを辞任に追い込んだソロバン・キャピタル・パートナーズや、米百貨店コールズのミシェル・ガスCEOを退陣させたアンコラ・ホールディングス、食品流通会社USフーズ・ホールディングのピエトロ・サトリアーノCEOを標的にしたセイチェム・ヘッド・キャピタル・マネジメントなどがある。
「業績不振であれば、アクティビストは黙っていない」こう話すのは、ゴールドマン・サックス・グループの米州M&Aグループ共同責任者でアクティビスト対策助言部門のグローバル責任者であるアヴィナッシュ・メロートラ氏だ。
ゴールドマン・サックスの調査によると、S&P 500企業の4社に1社はアクティビストが株式を保有しており、交渉を秘密裏に進める企業への挑戦という意味合いもある。
メロートラ氏は「私たちのチームでは、公表された一つひとつの案件について、できれば注目されたくない2、3のキャンペーンに対する買収防衛策を積極的に講じている」という。
取引の見込みが一段と低下しているにも関わらず、アクティビストヘッジファンドが企業に対して自社株や資産の売却を求める姿勢を維持しているのは確かなようだ。インサイティアによると、米国では昨年、こうした要求が19%増加した。
(取材:スヴェア・ハーブスト=ベイリス、編集:アンナ・ドライバー)
原文:REUTERS/翻訳:M&A Online
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