物価は高騰しているのに高級時計「ロレックス」は暴落、なぜだ?

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「カネ余りの解消」がロレックスの大量放出を生んだ

足を引っ張ったのが、同社で2番目に売上高が大きい時計事業。同社発表資料によると「特に、ロレックス等の人気商品においては、通年をとおして30%強の下落」となったのが響いたという。その結果、売上高は当初予想比9.5%減の446億200万円、営業利益は同33.8%減の23億2000万円、経常利益は同33.8%減の23億円、当期純利益は同33.8減の15億8700万円となる見通しだ。

同社はロレックス暴落の理由を「中国主要都市のロックダウンから始まり、コロナ後を見据えた諸外国の中央政府による金利引き上げに伴うインフレ進行と景気減速、暗号資産の急落、株価変動等も大きな要因となり、以前は希少でありました中古時計が流通市場に大幅に供給されたことにより、需給のバランスが崩れ急激な価格の押し下げ原因となっております」(同社発表資料より)としている。

要はコロナ禍からの正常化に伴うインフレを抑え込むための金融引き締めで「カネ余り」が解消したことから、投機商品となっていたロレックスを高値のうちに売り抜けようとする動きが一気に加速したということだ。

ロレックス社が昨年12月に「認定中古プログラム」を導入してこれまで関与しなかった中古時計ビジネスに参入するのに加え、スイス・フリブール州ビュールに同社5番目の新工場を建設して25~30%程度の時計増産も見込まれる。こうした情報を受けて「ロレックスの品薄が解消されるのではないか」との懸念から中古品の市場放出が加速し、値崩れを助長したようだ。

コロナ禍にもかかわらず急成長した高級品市場だが、ここに来て「暴落」のステージに入り始めた。ロレックスは、その「はじまり」にすぎないのかもしれない。

文:M&A Online編集部

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