「労多くして功少なし」ロレックスマラソンの現実

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高級腕時計「ロレックス」の人気モデルを購入するために「在庫はありませんか」と販売店を訪ね歩く「ロレックスマラソン」。円安の影響で昨年8月、2022年1月と相次いで値上がりしたにも関わらず、ロレックスマラソンは過熱する一方だ。なぜ起こるのか?費やした労力ほどの「成果」はあるのか?

人気モデルを中古で売りに出せば「黒字」に

ロレックスで最も人気がある「コスモグラフ デイトナ」は、今回の値上げで145万7500円から160万9300円になり、ついに150万円の大台に乗った。それでも人気が衰えないのは、中古価格が高いから。同モデルの中古品は400万円を超える。買取価格は安くとも200万円。正規ルートで定価購入した時計を売りに出せば「儲かる」のだ。

人気モデルの「サブマリナー」も入手困難なモデル(同社ホームページより)

そのほかにもダイバーズウォッチの「サブマリナー」や矢印形の24時間針を持つ「エクスプローラーⅡ」など、「プロフェッショナルウォッチ」と呼ばれるカテゴリーのスポーツ向けモデルが品薄となっており、ロレックスマラソンのターゲットになっている。

腕時計を扱う買い取りショップのバイヤーは「もっと高価な腕時計はいくらでもあるが、特別仕様ではない量産モデルが新品よりも高い値段で取引されるのはロレックスぐらい」という。そのため営利目的の転売もあり、自分が使わないにもかかわらず入手しようとする買い手も少なくない。こうした「投資」目当ての需要で、品薄に拍車がかかっている。

ロレックスにとっては転売では1円の儲けにもならず、固定客や販売店から「一向に手に入らない」との苦情も寄せられるため、転売対策に力を入れている。国内でロレックスを購入すると、新品に貼付されている保護用フィルムを全て剥(は)がして顧客に引き渡す。

顧客の腕にフィットするようバンドなどを調整するために必要な措置というが、保護シールを剥がすと「中古品」とされて売値が下がり、転売対策の効果もある。そのため日本の時計専門店やネットショップで販売されているロレックスの新品は、ほとんどが海外からの輸入品だ。

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