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「三井松島」が祖業の石炭事業から撤退 事業多角化に向けM&Aを一層強化

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写真はイメージです(事業多角化のために2014年にM&Aでストロー企業を買収)

三井松島ホールディングス<1518>は、事業多角化のためM&Aを積極化する。 

同社は2024年3月に祖業の石炭事業から撤退しており、今後事業規模が大きく縮小する見込みのため、M&Aで新規事業を開拓し収益の柱に育てるのが狙い。

2027年3月期を最終年とする3カ年の「経営戦略2024」の期間中に、2024年3月期末のネット現預金216億円をM&Aなどに投資する予定。

すでに、113億円ほどを投じて中小企業や個人事業主向けの不動産担保融資事業を手がけるエム・アール・エフ(福岡市)を、2024年7月に子会社化することを決めた。

こうした取り組みで2025年3月期に28億円を見込む当期利益を、2027年3月期までに50億円以上を引き上げる計画だ。

2025年3月期は大幅な減収減益に

三井松島は脱炭素化の流れの中、石炭事業の行き詰まりが予想されていたため、2013年からM&Aによる新規事業の開拓に取り組んできた。

これまでに適時開示した主なM&Aは、2014年にストロー製造販売の日本ストローを子会社化したのを皮切りに、シュレッダーや感熱紙レジロール、水晶デバイス製造装置、産業用チェーンなど16件(エム・アール・エフを含む)に達する。

今年度から主力だった石炭事業による収益がゼロになるため、同社の吉岡泰士社長は「引き続きM&Aにより新規事業へ投資し、さらなるグループ全体収益の拡大を目指す」としている。

この方針に沿った石炭事業撤退後初のM&Aとなったエム・アール・エフは、2012年の設立以来、業績を拡大しており、三井松島がエム・アール・エフの資金調達や東日本エリアへの業務拡張などを支援することで、両社の成長につながると判断した。

エム・アール・エフの2023年3月期は、売上高36億8400万円(前年度比7.2%増)、当期利益は11億1700万円(同1.8%増)だった。

一方、三井松島の2024年3月期は、売上高774億7200万円(同3.2%減)、当期利益151億1700万円(同34.2%減)で、石炭事業のなくなる2025年3月期は売上高560億円(同27.7%減)、当期利益28億円(同81.5%減)と大幅な減収減益となる見込み。

この三井松島の数字に、エム・アール・エフの数字が加われば、目標数字に一歩近づくことになる。

【三井松島ホールディングスの業績推移】単位:億円、2025年3月期は予想、2027年3月期は計画

決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期利益
2024年3月期 774.72 251.70 260.04 151.17
2025年3月期 560.00 49.00 48.00 28.00
2027年3月期
-
-
-
50.00

M&Aがそのまま業績に反映

三井松島は1913年に長崎県の松島炭鉱を設立したのがスタートで、創業から111年が経つ。この間、国内の炭鉱開発に取り組むとともに、海外の石炭事業などに関わってきたが、最後に残ったオーストラリアの炭鉱が閉山したため、同事業から完全撤退することになった。

2024年3月期を最終年とする5カ年の中期経営計画では、当初300億円を計画していたM&A投資額は330億円となり、47億円を見込んでいた非石炭事業の営業利益は52億円となるなど、同中期経営計画は総じて達成したとしている。

これを引き継いだ新しい経営計画「経営戦略2024」は、M&Aの有無がそのまま業績に反映されることなる。

発表年 三井松島ホールディングスの2014年以降の主なM&A
2014 ストロー製造販売の日本ストローを子会社化
2015 オーダースーツ販売の花菱縫製を子会社化
2017 マスクブランクスメーカーのクリーンサアフェイス技術を子会社化
2019 シュレッダー国内最大手の明光商会を子会社化
2020 タイのシュレッダー協力工場T SECUREを段階的に子会社化へ
2020 ペットフード輸入卸のケイエムテイを子会社化
2020 水晶デバイス用生産設備製造の三生電子を子会社化
2020 傘下の花菱縫製とメルボグループのオーダースーツ事業を統合へ
2021 住宅部材製造のシステックキョーワを子会社化
2022 送電線用架線金物専業メーカーの日本カタンホールディングスを子会社化
2023 レジロール用記録紙大手の丸紅オフィス・サプライを子会社化
2023 食品自動計量機メーカーのプラスワンテクノを子会社化
2023 カツマタから感熱紙加工販売事業を取得
2023 産業用ローラーチェーンなど製造のジャパン・チェーン・ホールディングスを子会社化
2024 水晶デバイス計測装置製造のSaunders & Associatesを子会社化
2024 事業者向け不動産担保融資のエム・アール・エフを子会社化

文:M&A Online

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