百貨店の「J.フロント リテイリング」銀行などと共同で地方の食文化を守るファンドを運用

alt
写真はイメージです

大丸松坂屋百貨店やパルコなどを傘下に収めるJ.フロント リテイリング<3086>は、日本政策投資銀行(東京都千代田区)、イグニション・ポイント ベンチャーパートナーズ(東京都渋谷区)と共同で、事業承継ファンド「Pride Fund」を設立し、2024年3月28日に本格活動を始めた。

特産の食品などを手がける地域に根差した中小企業を中心に出資し、3 社が持つ強みを生かして事業承継を支援することで、食文化を守り地域社会への貢献を目指す。J.フロントのような小売業が、こうしたファンドを立ち上げるのは珍しいという。

事業承継については国をはじめ自治体や企業が支援に乗り出しており、近年はサーチファンド(個人が投資家からの資金援助を受けM&Aによって経営者になる仕組み)を活用した事業承継の動きが目立つ。

直近では地方銀行上位の百五銀行<8368>が2024年3月に、東海地方では初めてとなるサーチファンド「105東海みらいサーチファンド」を立ち上げたほか、National Search Fund(東京都港区)が2024年2月にサーチャー(経営者を目指す個人)希望者に対して説明会を定期開催する取り組みを始めるなどの動きがある。

後継者不在に悩む企業は多く、事業承継にかかわるファンドの活動は今後さらに活発化しそうだ。

関連記事はこちら
東海地方初のサーチファンドが誕生「百五銀行」がファンドと連携
事業承継の新手法“サーチファンド” 経営者に必要な素質とは?

販売や新規事業の立ち上げを支援

Pride Fundは、後継者問題に悩みを持ち、だんごや日本酒などの食関連や、刃物、バッグ、箸などの工芸関連などをはじめとする、地域の特色を活かした事業を展開している中小企業に投資する。

投資先企業に対しては、J.フロントが傘下の百貨店などを活用した販売支援や、取引先ネットワークを活用した他企業との連携支援などに取り組む。

イグニション・ポイントは、経営戦略の立案や新規事業の開発などのコンサルティングなどを、日本政策投資銀行は、ファイナンスノウハウの提供などを行う。

こうした支援によって、投資先企業が経営戦略を作成し、販売を拡大し、新規事業を立ち上げることで、事業の継続を目指す。

日本が誇る優秀なコンテンツを発掘

Pride Fundのファンド総額は30億円ほどで、イグニション・ポイントと、J&D リージョナル・デベロップメント(J.フロントと日本政策投資銀行の合弁会社)が無限責任組合員、J.フロントと日本政策投資銀行が有限責任組合員として運用される。

日本には優れた商品を提供する企業が数多くあるが、後継者をはじめ資金や経営ノウハウなどの不足による廃業が大きな問題になっている。Pride Fundでは「日本が誇る地域の優秀なコンテンツを発掘、支援する」としている。

文:M&A Online

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

NEXT STORY

パナ傘下のブルーヨンダー、米ワンネットワークを買収へ 1270億円

ロイター・ニュース・アンド・メディア・ジャパン
| 3/30
2024.03.30

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5