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「カシオ」が中高生向けデジタル教材のLibryを傘下に 教育事業を800億円規模に拡大

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カシオ計算機の電卓

電卓や腕時計などを手がけるカシオ計算機<6952>は2024年5月中旬に、中高生向けのデジタル教材を手がけるLibry(東京都港区)を子会社化する。

教育分野の事業拡大を目指す2026年を最終年とする3カ年の中期経営計画の方針に沿ったもので、こうした取り組みで2026年3月期に、教育事業の売上高を200億円上積みし800億円に引き上げる。

カシオは総合学習プラットフォーム「ClassPad.net」事業や、関数電卓を使って数学教育を支援する「GAKUHAN」活動などに取り組んでおり、これら事業での成長に加えM&Aなどによって中期経営計画の目標を達成する計画だ。

Libryの2023年2月の売上高は2億7400万円(帝国データバンク調べ)で、200億円の上積みに対してわずか1.3%ほどを占めるに過ぎないため、Libryに次ぐM&Aの可能性もありそうだ。

中学校や高校など約600校が導入

Libryはデジタル化した問題集などの学習コンテンツとAI(人工知能)ドリルの特性を併せ持つシステム「Libry」を、2017年から中高生向けに提供してきた。

一つの端末で複数の教材や問題集を管理できるほか、学習履歴に基づいた類似問題や苦手問題を表示する機能などを持つ。現在は、全国の中学校や高校など約600校(2024年3月時点)が導入している。

帝国データバンクによると、売り上げは大きく伸びており、2023年2月期は前年度比85%の増収となったが、赤字が続いており、同期の当期損益は1億3500万円の欠損だった。

カシオはLibryが実施する第三者割当増資を引き受け、Libry株式の約68.9%を取得する。

Libryの業績推移
帝国データバンク調べ

戦略投資枠に200億円を計上

カシオの「ClassPad.net 」は、パソコンやタブレットで使用するもので、オンライン辞書や数学ツールなどの学習コンテンツのほかデジタルノート、授業支援などの機能を備えており、先生と生徒の双方向のやり取りや生徒同士のディスカッションなどが可能。2023年3月時点で高校を中心に245校が導入している。

カシオとLibryは、学習コンテンツやツールを互いに補完し合い、使いやすいサービスを提供するとともに、今後は教育ビッグデータを活用して、個別最適化学習や教育アセスメント(学習の評価)の支援なども行う。

カシオは2026年を最終年とする3カ年の中期経営計画の中で、アライアンスやM&Aなどによる非連続的な成長実現のために200億円の戦略投資枠を設けている。

教育事業では「Webアプリビジネスへの積極投資によりビジネスモデルの転換を加速する」としており、今回のLibryの子会社化はこの一環と言える。

2026年3月期の目標である売上高3100億円のうち800億円を、営業利益 360億円のうち85億円を教育事業で稼ぎだす計画だ。

カシオ計算機の2026年3月期の部門別計画

文:M&A Online

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