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【譲渡所得税】 いくらで買ったか分からない不動産の譲渡原価は?

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「市街地価格指数」で取得原価を推定する

しかし、裁決事例で取り上げている「市街地価格指数」を使う方法は参考になるかも知れません。
国税不服審判所のHP国税不服審判所のHPにも裁決事例が公表されています。

この公表裁決事例のポイントをかいつまんでみますと、

『所得税法第38条第1項の譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。』『取得時期は判明しているが取得価額を直接証する契約書等の資料(請求人提出の資料で採用できないものも含む。)の提出がなく、その額が不明なものについては、その費用を実額により算定することができないから、その部分については、推計の方法によって算定せざるをえない。』

『このような場合の土地・建物の取得費については、前記2の(2)のイの(イ)での原処分庁主張のとおり、各種の計算方法が考えられるところ、原処分庁が採用した計算方法は、本件新建物の取得費については、調査会が公表している統計的な数値である建築物単価を基に建築価格を算定し、その価額から譲渡時までの減価償却費相当額を控除しているものであり、実勢価額の近似値と認められる時価相当額を推定していること、また、本件宅地の取得費については、本件物件の譲渡価額の総額から実勢価額の近似値と認められる当該建物の取得費を差し引いた額に、Mが調査し公表している六大都市を除く市街地価格指数(住宅地)の譲渡時に対する取得時の当該価格指数の割合を乗じて時価相当額を推定していることから、いずれも合理性があり、当審判所においても、これを不相当とする理由は認められない。』

詳細は平12.11.16裁決、裁決事例集No.60 をご覧いただくとして、なんと、原処分庁側、つまり、「国税当局」側が、市街地価格指数による取得原価の推定を認めているのです。

「原処分庁」側の主張に、下記の記載があります。

『本件物件の取得費については、請求人からその取得に要した費用を明確にする資料の提出はなく、また、原処分の調査(以下「本件調査」という。)によっても実際に要した費用を明らかにできなかったことから、合理的な算定方法によらざるを得ない。
ところで、土地と建物を一括して譲渡し、そのいずれの取得価額も不明である場合の土地・建物の取得費を算定する方法には、〔1〕租税特別措置法(以下「措置法」という。)第31条の4《長期譲渡所得の概算取得費控除》を適用する方法、〔2〕土地の取得価額は土地の取得時の売買実例から算定し、建物の取得価額は譲渡価額の総額から土地の譲渡時の売買実例価格を差し引いて算出された建物の譲渡価額から減価償却費を控除する方法、〔3〕土地と建物の固定資産税評価額を基に算定する方法及び〔4〕建物の取得価額を着工建築物構造別単価(別紙1)(以下「建築物単価」という。)から算定し、土地については市街地価格指数(別紙2)を基に算定する方法などが考えられる。
しかし、〔1〕の方法によれば、本件物件の取得費が一定率で計算され実額等がまったく反映されないこと、〔2〕の方法によれば、土地の譲渡及び取得に係る売買実例がなく世情を反映した確実な指標とする合理的理由が見当たらないこと、〔3〕の方法によれば、画一的で個別事情が反映されず、実勢価額が形成されないことが考えられるなど、これらの方法を用いて算定することには合理的理由が見当たらない。
そこで、〔4〕の方法によれば、取得費の算定の基になる建築物単価がN調査会(以下「調査会」という。)が公表した統計的な数値であることから、市場価格を反映したより近似値の取得費が計算できることになり、合理的であると言える。』

一見、「納税者側の主張?」とでも思ってしまいそうな主張です。つまり、「建築物単価」「市場価格指数」を採用して、取得費を推定することを税務署も国税不服審判所も合理的と認めているのです。

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