にもかかわらず、文部科学省が学部の譲渡を認めようとしている背景には、少子化による大学経営の困難さがある。すでに経営難に陥った私立大学の廃校が相次いでおり、地方から高等教育の機会が失われつつある。
地方において大学は新製品のネタを提供してくれる機関であり、人材を供給してくれる機関でもある。実際大学の技術や人材を取り入れて成長してきた企業は数多くある。
地方からこうした役割を担う大学がなくなることは、地域発展のためにもプラスとは言えない。文部科学省が何とかして地方に大学を残そうと、大学間のさまざまな連携の後押しする取り組みは、確かに重要だ。
ただ、その目的を達成するための切り札が学部の切り売りかというと、首をひねらざるを得ない。もちろん文部科学省も学部譲渡だけを考えているわけではく、大学の統合などについても幅広く検討を進めている。
そこで、ここはさらにもう一歩踏み込んだ議論を期待したい。例えば経営難に陥った大学を国が買い取り、その地域にあった技術開発を行う教育機関に改組するといったアイデアはどうであろうか。
なんだかんだいっても、日本はやはりモノづくりで生きていくしかないだろう。地場産業の技術を活かし、新しい技術を開発する。そして新しい市場を作っていく。こうした明るい未来が少しでも描けるようであれば、経営難の大学を買い取るとために、税金を投入する意味はあるだろう。
文:M&A Online編集部
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