ニコンは2021年4月に3Dプリンターで中・小型人工衛星部品を製造し、米ボーイングなどに納入実績がある米モーフ3Dを100億円弱で買収。M&Aを利用して、金属3Dプリンター事業を強化してきた。同社は職務で賃金を決めるジョブ型雇用を利用してM&A要員を年収2000万円の高待遇で採用しており、今後も3Dプリンター事業でのM&Aがありそうだ。
米市場調査会社SmarTech Analysisによると、3Dプリンターの世界市場は2022年に前年比約23%増の135億ドル(約2兆円)と推定している。成長率はニコンが参入している金属3Dプリンター市場が約25%と、樹脂3Dプリンター市場の約20%を上回る見通しだ。
もっとも、日本国内では3Dプリンターの普及は今ひとつ。とりわけコロナ禍で新規設備投資を見送る傾向が強まったことが響いた。矢野経済研究所によると、2020年の3Dプリンター出荷台数は9210台と前年比では微増だったものの、ハイエンド3Dプリンターの伸び悩みで総売上高は同5.7%減の165億円にとどまっている。
従来は治具や金型が不要なメリットを生かした試作品の製造が主流だったが、海外では多品種少量生産の部品や製品づくりにも活用され始めている。住宅や航空機向けの大型部品など、技術力の向上に伴う応用分野の拡大が進む。現時点で3Dプリンター市場の成長は緩やかだが、その分「のびしろ」があると言える。ニコンが力を入れるのも当然かもしれない。
文:M&A Online
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