急浮上する新型コロナ「行政訴訟」三つのリスク

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第2のリスク「ワクチン接種の遅れ」

第2のリスクはワクチン接種に伴う訴訟だ。これまでワクチン訴訟といえば、インフルエンザワクチンや種痘、ポリオ生ワクチン、百日咳ワクチン、日本脳炎ワクチンなどの副反応により、死亡したり障害が残ったりする健康被害に対する損害賠償訴訟だった。

もちろん新型コロナワクチンでも副反応による健康被害訴訟が発生する可能性もあるが、今回は「ワクチン接種の遅れ」が訴訟につながりかねない。

政府は「想定外の事態」を理由に賠償を拒否するだろうが、1月に「2月下旬から医療従事者、65歳以上の高齢者、高齢者施設や障害者施設の職員、基礎疾患のある人の順に優先接種を進め、5月から7月までに16歳以上の全国民を対象に接種完了する」としてきた。

しかし、ワクチン調達が進まずスケジュールは大幅に遅れ、7月末までに高齢者への接種が終わるかどうかという状況だ。しかも、日本のワクチン接種率は著しく低い。米ブルームバーグの調査によると、日本で少なくとも1回の接種を受けた人は2.4%。世界196カ国中129位にとどまっている。

そうこうする間に過去最大の感染第4波が襲来。昨年と違い、感染予防の決め手となるワクチンが存在する。それにもかかわらず、コロナ感染で死亡したとなると「行政の不作為」を問う損害賠償訴訟が起こる可能性がありそうだ。

ワクチンが存在するにもかかわらず接種遅れで失われる命も(写真はイメージ)

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