余談になるが、この「ユダヤ教徒のリスク管理」についてもう少し触れたい。筆者もそうだが基本的に一神教と無縁の日本人にとって、この圧倒的マジョリティのキリスト教徒の中で暮らす少数派のユダヤ教徒の環境というものがどれだけハイリスクだったか、なかなか想像しがたい。そこで、この背景をもう少し深堀りしておこう。
キリスト教がローマの国教になったのは392年だ...
スペインに渡ったユダヤ教徒たちは、どのようにして経済的に自立し、定住したのか。そして、どのような経緯で、金融の発展に関わっていくことになるのか。今回から本題となるユダヤ教徒と企業金融(コーポレートファイナンス)の歴史について触れていきたい。
投資ファンドは「1株1議決権」を前提として、株主権を存分に行使してリターンの最大化を目指す。ある意味、米国株主資本主義を究極まで純化した存在といえる。その投資ファンドが自らは一般株主の権利を著しく制限する特殊な議決権構造を採用しているのだ。