「コミッション(Commission)」と聞いて「手数料」を思い浮かべるひとが多いでしょうが、本来は商取引における「委任、委託」を意味します。「委員会」を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。-er をつけて「委員会の理事」という意味をもたせたのが、プロ野球でおなじみの「コミッショナー(Commissioner)」です。

委員会を表す英語にもうひとつ、 committee という単語もあります。こちらは動詞 commit(過失などを犯す、委託する)の綴りに近いですね。

動詞の名詞形 commitment(委託、交流、犯行など)は、「コミットする」とか「コミットメント」という言い方で日本語化しています。この場合は「かかわり合い」「参加」「貢献」のニュアンスで使われているようです。ちなみに commitment は、金融用語で「有価証券の売買契約」という意味でも使います。

さて、 commit の由来ですが、接頭辞の com- (この場合は「~に対して」の意味)と mittere (送る)というラテン語の動詞が接合してできました。「ある人に対して送る」ことから意味が転じて「委ねる」という意味になったのです。

このラテン語の mittere という動詞は、実に多くの言葉のもとになっています。ラテン語系の接頭辞をつけて、思いつくままあげてみましょう。

〇 ラテン語 mittere から派生した単語

接頭辞動詞形名詞形
「前方」の ad-admit(許可する)admission(入場許可)
「外部へ」の ex-emit (出す、放つ)emission(紙幣発行)
「対立」の ob-omit(省略する)omission(省略)
「予め」の per-permit(許可する)permission(許可)
「再度」を示す re-remit(送金する)remittance(送金)、remittance slip(入金伝票)、 remittance advice slip (送金通知書)

動詞に "mit" という音が出てきますが、なかには -mise という過去分詞形が英語になった言葉もあります。

例えば「予め」のニュアンスをもつ接頭辞 pre- がついた premise (前提)などです。複数形の premises にすると、「譲渡財産、不動産」という意味がありますので、こちらも金融英語として覚えておきましょう。

「前方」を意味する pro- がついた promise (約束する、約束)の現在分詞形 promising は、「前途有望な」という意味です。形容詞形の promissory で覚えておくべき金融用語は、 promissory notes (約束手形)でしょうか。

「離れて」の意味の dis- がついた dismiss(解散させる、解任する)の名詞形は、dismissal(解散、解雇)です。

先ほどのラテン語 mittere (送る)の過去分詞から誕生した語に、message があります。「送られるもの」という意味が転じて「メッセージ」になったのですが、これを運ぶのは「メッセンジャー」 messengerです。

「ミサイル(missile)」 は「送られ」たくないですが、これも mittere から派生した語で、元は「送ることができる」という意味です。

文:猪浦道夫・天宮徹也(共同執筆)/編集:M&A Online編集部