ご注意ください
この記事は公開から1年以上経っています。掲載されている情報は、公開当時のものです。

Stock(株式)の語源は?|金融・経済の英単語

alt
Photo by Rick Tap on Unsplash

Stock

stock はイギリス英語では「国債」、米語では「株式」を意味する言葉ですが、古い英語に起源をもち、さらに古く印欧語にその起源をさかのぼる、とても古い語のようです。そのルーツは何でしょう。

stock は昔、木の「茎」や「株」などの意味があったようで、それが「押す」「打つ」といった意味に派生させました。ですから「株」は本来の意味を受け継いでいると言えます。

ドイツ語の stock は「杖(つえ)」の意味で、スキーの「ストック」はここから来たものかもしれません(もっとも stock という英語は当時の辞書に載っていますので、英語が起源かもしれません)。これらに関連した類似の語彙としては、stub (切り株)、stucco (スタッコ、化粧漆喰) 、stump(もと切り株)なども stock に関連があるようです。stick(スティック、棒、杖)は、ゲルマン語特有の「母音交替」による類義語です。

さて、同じ stick という単語なのに、ご老人が使う杖は、どうして「スティック」と言わず「ステッキ」と言うのでしょう?

これとよく似た現象があります。例えば strike ですが、労働組合では「ストライキ」、野球では「ストライク」といいます。また、ink は「インク」と言う方が多いと思いますが、昔は「インキ」と言ったりしました。

種明かしをすると、昔入ってきた「外来語」の方が、実際の発音に近いからなのです。それに対して、戦後使われるようになった単語は、英語の綴りに引っ張られて、カタカナ表記をしたのだと考えられます。

さて、stock には「家畜」という意味もありますが、これは「木の枝などで作った柵」のイメージから出たのでしょう。他にも「在庫」の意味や、料理では「ブイヨン」の意味でも用いられます。

stock とともに「株」という意味する share (割り前、切る、刈る)も、古い英語に起源をもつ関連語です。

さて、stock にあたる古いフランス語は、stache といい「杭(くい)」を意味しました。これに接頭辞の ad- がついてできたのが attach (くっつける)で、その語幹の部分は古いケルト語 tag(木くぎ)から来ているようです。

イタリア語の attaccare から派生した語は attack です。従って attach と attack はしばらく離れ離れになっていた兄弟のような語なのです。ad- と反意の接頭辞 de- がついでできた単語が detach (分離する、取り外す)で、この単語の祖先となるフランス語の動詞の過去分詞 détachée はバイオリン奏法で「デタッシェ」と呼びます。イタリア語に直すと、「staccato(スタッカート)」です。外来語にもなっている attaché case(アタッシュ・ケース)の attaché は「随行員」の意味です。

文:猪浦道夫・天宮徹也(共同執筆)/編集:M&A online編集部

猪浦 道夫 (いのうら・みちお)

ポリグロット外国語研究所代表。翻訳家。東京外語大学卒。イタリア政府国費留学生を経て同大学院修了。野村證券、旧日本興業銀行、ブリヂストン、キヤノン等において研修講師を務める。現在は、一般向けの「再チャレンジ英語セミナー」「9か国語の超速習セミナー」など多数のセミナーも主催。またブレークスルー大学、DHC主催の語学セミナー講師、DHC翻訳者新人コンテストの審査委員長を務めた。

著書: 語学界のバイブル的ベスト&ロングセラー『語学で身を立てる』(集英社新書)他、『英語冠詞大講座』(DHC)、『英語語彙大講座』(DHC)、『日本人のための再チャレンジ英語全6巻』(ポリグロット外国語研究所出版会)など。

ポリグロット外国語研究所のホームページはこちら
http://www.polyglot.jp/


NEXT STORY

【法律とM&A】経営承継円滑化法の遺留分に関する民法特例とは?

【法律とM&A】経営承継円滑化法の遺留分に関する民法特例とは?

2016/05/16

中小企業の事業承継において遺留分が問題になることがある。自社株式が分散してしまうなど事業承継にとって大きなマイナスになることがありその対処として利用できる、経営承継円滑化法とは何か?4月に施工された「遺留分に関する民法の特例」について司法書士・行政書士法人星野合同事務所の解説をみてみよう。