「ファイナンス(finance)」という言葉は、どこから来たのでしょう。答えは、中世フランス語で「終わる、支払う」を意味する finer が語源となります。この finer に抽象名詞の語尾 -ance がついて、"finance" になりました。

同じ語源をもつ仲間に "finish" があります。映画の最後に「Fine」(イタリア語)や「Fin(フランス語)」と出るのを見たことがあるでしょう。いずれも「終わり」の意味です。”finish”の -ish は、言語学で「起動相(inceptive)」と言い、「~し始める」という意味をもつ動詞につける語尾です。

他に finer から派生した語には、どんなものがあるでしょうか。"fine", "refine", "define", "confine" "finite" を拾い出してみましょう。

"fine"という綴りの単語には、いろいろな意味があります。野球で「ファインプレー」というときのファインは「見事な、素晴らしい」という意味です。「終わり」から「究極」、「最上の点」というイメージの広がりからこの意味が出てきたのです。そして「細かな」「デリケートな」という意味が re という強めの接頭辞で増幅されて、"refine" (洗練された)という派生語が出来ました。

「罰金」を意味する "fine" という名詞もあります。これも「終わり」から「精算」の意味が出て「罰金」へと転義したものです。"define" は、ラテン語にすでに存在した語で de-(下に) と finire(終わる)から「明確に定める --> 定義する」となりました。名詞の "definition"(定義)は、時事的な文章でよく使われます。

"confine" は、「con-(完全に)+ finire(境界を作る)」から「閉じ込める」というニュアンスになって、動詞の「制限する」、名詞の「境界」になりました。

理系の文献でよく見かける "finite"(有限の)は、もともと finire(=finish)の過去分詞形でした。ちなみに発音は[ファイナイト;fάɪnɑɪt]です。反対語の "infinite"(無限の)は[インフィニット;ɪnfənət]ですので、注意してください。"famous"[フェイマス;féiməs]と "infamous"[インフォマス;ínfəməs]のような関係です。

さて、文法用語で「不定詞」を意味する "infinitive" はこの形容詞形から出たものです。人称、数、時などが「制限のない不安定な動詞」ということです。

フランス語の過去分詞は、infini で「アンフィニ」と読みます(車の名前にありましたね)。ad-という接頭辞がついた "affinity" という英語は、「係」「婚姻(密接な)関係」「類似性」などを意味する語です。

文:猪浦道夫・天宮徹也(共同執筆)/編集:M&A Online編集部