今回ご紹介する policy は、政策を意味するポリシーではなく、「保険証券」の policyです。この言葉はイタリア語の polizza に起源をさかのぼりますが、さらに古くはギリシャ語の apodeisis という語にたどり着きます。「前に進める」というような意味で、論理学などで使う apodictic (/apodeictic 論理的に正しい) という言葉と同じ家族です。後ろの部分の -deictic は、言語学で「直載的な」という意味で使われます。

接頭辞の apo- は「離れて、分かれて」というニュアンスのギリシャ語で、会話でよく使う apology は、この apo- に logos (語)がついて「罪から離れるための言葉」から「自分を守るための言葉」となり「言い訳を表す言葉」になりました。動詞形の apologize (謝罪)も非常によく使われる語ですね。

さて、キリストの12使徒を apostle (アポストル)と言いますが、ギリシャ語 aporstellen (送る) という動詞がついて「送られる人」から「使者」→「使徒」の意味になったのです。

ところで、ドイツ語圏の国を旅行した人は、街中で Apotheker という看板を見ませんでしたか。これは apo- に tithemai (置く) という動詞がついた語で、「離れて置くところ」というところから「倉庫」を経て「薬局」になりました。英語では古語になってしまいましたが、Apothecary (アポセカリー) という語として現存しています。

文:猪浦道夫・天宮徹也(共同執筆)/編集:M&A Online編集部