"depreciation" は「価値の低下」のほかに、金融では「貨幣購買力の低下」を意味します。米語では「減価償却」の意味でも使われ、"depreciation reserves" は「減価償却引当金」です。

この単語は、"depreciate"(価値を減ずる、市場価値を下げる)という動詞の名詞形ですが、起源はラテン語に遡り、de(下へ)とpretium(価)と-ate(動詞語尾)に分解され、「価値を減ずる」となります。専門的には「税金上で資産などの減価償却を求める」という意味になります。

de- の代わりにポジティブな意味の接頭辞 ad- をつけると、"appreciate"(正当に評価する、理解する、鑑賞する、感謝する)という動詞になります。

"I appreciate your cooperation."(ご協力に感謝します)"という口語表現が広く用いられていますが、appreciate には「値上がりする、価格が上昇する」という意味もあります。名詞の "appreciation" (正しく評価すること、鑑賞、値上がり)や、形容詞の "appreciative" (真価がわかる、感謝している)も日常でよく使われます。

さて、pretium は「価値」を意味することから、英語の "price"(値段、価格)がこの単語の直系の子孫であることは、比較的容易に想像がつくかもしれません。

否定形の形容詞である "priceless"(プライスレス;値段がつけられない)は、某カード会社のCMで使われていますね。 "price" の兄弟は "praise"(誉める、賞賛)です。

形容詞 "praiseworthy"(賞賛に値する)もネイティブの間でよく使われる言葉ですが、英語ではこのように母音を換えて別の語をつくることがよくあります。この現象はゲルマン系言語のひとつの特徴でもあり、言語学では 「Ablaut(アプラウト;母音交替)」と言います。

例えば、sitとset、riseとlayも実は兄弟です。これらの語は、母音を換えることによって自動詞と他動詞を区別しています。praiseに接頭辞 ad- をつけると "appraise"(評価、価格査定する)という語ができます。形容詞の "precious"(高価な、貴重な)も、この家族の一員です。

文:猪浦道夫・天宮徹也(共同執筆)/編集:M&A Online編集部