所在不明株主の株式売却・買い取り制度
全く連絡がとれず所在が分からない株主が会社にいる場合の株式買取制度についてお話します。
あなたが会社を買う場合にも、気を付けないといけません。
「すごい儲かっている出版社があるから買いたい」と思っても、このような「チェンジオブコントロール条項」があったら、間抜けな話になってしまいます。利益の源泉が消滅してしまい、「一体、何のために買ったんだよ」なんてことになりかねません。
デューデリジェンスを行えば、このような事態を予防できる可能性が高まり、損害を食い止められる、あるいは最小限に抑えることができます。
さらに言うと、あなたが使用許諾等をする側(上記で言うと漫画家さんの立場)であれば、そういう条件を付すことも大いに考えるべし、ということです。
昔、ある会社さんが「合併したいんだけどどう思う?」と聞いてきたので、「チェンジオブコントロール条項に気を付けた方がいいですよ。後でおおごとになるケースがありますから」とお話をしたところ、契約書をひっくり返して、全部調べたようで。。。
「昔の契約書を読んだら、当社にとって重要な契約に該当があった。これじゃ無理だなぁ。 今更、契約相手に聞きに行っても”寝た子を起こす”ことになりかねないし。」という結論になりました。
大事な契約書を結ぶときは、きちんと文字を読んで契約することが大切です。
自社がM&Aでほかの会社を買う時であっても、「何が利益の源泉なのか」「利益の源泉を損なう事象はどのようなものが想定できるか」「利害関係者は誰か」などはきちんと調べるべきですし、それを予防するための手段の一つが「デューデリジェンス」というものであり、もう一つが「表明保証」であると思うのです。
ケースによってはエスクロー (※)を絡めるなどの検討も必要です。
(※)エスクローというのは、代金の一部支払留保で、条件達成を担保させる手法です。上記のようなケースで言うと、「株式売買代金の30%相当は、○○信託銀行に預け、M&A成立後、使用許諾権者から使用権の侵害申立などの主張により損害を受けない場合に支払う」的な約束をすることです。もっともそんな条件を提示したら、相手から「だったらこの話はお流れでいいよ」と言われるかも知れませんが。
上記にあげたのはリスク要素の一つに過ぎません。会社を買収する際には、いろいろなことを短期間で調査する必要があります。
[著]節税ヒントがあるかもブログ メタボ税理士さん
[編集・改変]M&A Online編集部
本記事は、「節税ヒントがあるかもブログ」に掲載された記事を再編集しております。
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