全国280万社のうち、女性社長は調査を開始した2010年以降で最多の33万2,466人(前年31万55人)にのぼった。女性社長は政府の「女性の活躍推進」などを追い風に5年間で1.6倍に増えた。業種ではサービス業など、小資本でも起業が容易な業種が目立った。地域別では「西高東低」が顕著で、同居家族が多い地域ほど女性社長が少ない傾向がみられ、女性の起業には家事や育児、介護などの課題を、地域や家族、行政がどう支援していくかが重要になっているようだ。
※本調査は、東京商工リサーチの保有する280万社の経営者情報(個人企業を含む)から、女性社長(病院、生協などの理事長を含む)を抽出、分析した。調査は2010年から実施し、今回が6回目。
都道府県別で女性社長数が最も多かったのは、東京都の8万6,274人(前年7万9,880人)で6年連続トップを維持した。次いで、大阪府2万9,472人(同2万7,678人)、神奈川県2万2,626人(同2万598人)、愛知県1万5,974人(同1万4,898人)、埼玉県1万4,008人(同1万2,891人)と、大都市が上位に並んだ。一方、少なかったのは、鳥取県1,232人、島根県1,328人、福井県1,573人と前年と順位は変わらず、人口に比例している。
企業数と女性社長数を対比した「女性社長率」の全国平均は11.8%で、前年(11.5%)に比べ0.3ポイント上昇した。都道府県別で全国平均を上回ったのは12都府県だった。
「女性社長率」の最高は、東京都の14.3%(前年14.0%)。次いで、神奈川県13.2%、兵庫県13.0%、福岡県12.98%、大阪府12.97%と続き、ここでも大都市圏が目立った。
「女性社長率」の上位20位のうち、西日本は15府県(九州・沖縄6県、近畿4府県、四国3県、中国2県)がランクインし、「西高東低」の傾向が強まった。一方、比率が低かったのは、岐阜県7.9%、新潟県8.0%、山形県8.10%、石川県8.12%、福井県8.15%の順。
「女性社長率」が低い地域では、「1世帯平均構成人員」が多い傾向がみられる。このことから少子高齢化が進む中で、家事や育児、介護などの家庭負担が、女性の起業にも影響が大きいことが透けてみえる。
産業別で最多は、宿泊業、飲食業、介護事業、美容関連、教育関連などの「サービス業他」で、13万7,837人(構成比41.5%)だった。小資本でも起業しやすい業種が多く、全産業の4割を占めた。また、産業別の「女性社長率」は、不動産業が21.3%でトップだった。女性の起業は、個人向けサービス等の暮らしを充実させる分野での事業展開が多いということを示している。