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日本のGDPベスト3脱落危機を招いた「痛恨の政策」とは?

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アベノミクスが日本のGDP成長の「足かせ」となった(Photo By Reuters)

円安による輸出産業の好業績がイノベーションを止めた

「たまたま円安に振れたからドイツとの格差が縮まった」との指摘もあるが、金融政策を駆使して円安へ誘導したのもアベノミクスだ。アベノミクスによる円安は輸出産業に莫大な利益をもたらし、大企業の業績を押し上げて株高にもつながった。

それが「好景気」感をもたらしたが、円安による好業績で輸出企業に「緩み」が出たことは否めない。早い話が「儲かっているのだから、イチかバチかの冒険は必要ない」ということだ。イノベーションや最先端テクノロジーで韓国や台湾、中国企業に後れをとり、コモディティー製品の価格競争に巻き込まれた結果、「安い日本」という結果を招く。これもGDPが伸び悩んだ要因の一つだ。

日本経済を支え、世界最強を誇る自動車産業だって例外ではない。電気自動車(EV)シフトの世界的な潮流に乗り遅れつつある。これも円安で国産車メーカーの業績が好調だったため、「急いでEVを投入する必要はない」と判断を誤ったのが原因だ。

日本の製造業は有機ELテレビやスマートフォンといったイノベーションや最先端テクノロジーに乗り遅れた結果、円安による資源やエネルギーなどのコスト増を製品価格に転嫁できない状態となっている。いわゆる「悪い円安」だ。とはいえ、再び1ドル=100円を切る円高になれば、日本の輸出産業は深刻な打撃を受けるだろう。

単純に「ドイツに追い抜かれて世界4位になる」という話ではない。日本経済がこれから再び成長を目指すのか、それとも減少する人口に合わせて緩やかに縮小をしていくのか、長期的な戦略が必要だ。日本は重要な決断を迫られている。

文:M&A Online編集部

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