どうにも不可解な「さが美」のTOB

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 ところが統合を完了したユニー・ファミリーマートも「さが美」も、信頼関係が築けていないなど「笑ってしまうような」理由でニューホライズンの対抗案に不賛同を表明し、ニューホライズンも「友好的TOBしか行わない」との理由で正式にTOBを申し立てず、TOB期間最終日の10月11日には無事にアスパラントへの安値TOBが成立してしまいました。

 「再生ファンド」という狭い特殊な世界では、こういうことも珍しくないのかもしれませんが、じゃあどこが問題なのでしょう?

 ユニー・ファミリーマートは「さが美」という会社資産を不当に安く売却したことになり、厳密に言えば株主代表訴訟の対象となります。「さが美」はまだ東証1部に上場しており(つまり客観的な価格があり)、本日(10月13日)の終値も1株=117円あるからです。

 もしニューホライズンがあくまでも戦うつもりだったら、会社の賛同が得られなくても正式のTOBを申し立てれば(TOBは重複した申し立てが可能です)、少なくともアスパラントへの安値TOBは阻止できたはずです。さすがに明確に安値の方に売却したことになるからです。

 全株を売却してしまうユニー・ファミリーマートから見れば、(実際にそういう言い訳もしているようですが)売却後の「さが美」の経営が信頼関係のないニューホライズンに委ねられても何ら問題がなく、純粋に会社の利益だけを考えればいいはずです。

 ところがニューホライズンも「再生ファンド」という同じ狭い世界の住人であるからか、結局はTOBを申し立てず退散してしまいました。

 要するにすべて「再生ファンド」という狭く特殊な世界の住人にしかわからない理屈で、この不可解な安値TOBが成立してしまい、今回はアスパラントなる「再生ファンド」に大儲けの機会が提供されて幕引きとなります。

本記事は、「闇株新聞」より転載しております。
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