アップルの最新スマートフォン「iPhone15」シリーズが発売された。前モデルの「iPhone14」シリーズと同じく、上級モデルの「Pro」シリーズのみ最新SoC(システム・オン・チップ=異なる機能を持つ複数のLSIを一つの集積回路に集約したもの)の「A17 Pro」が搭載されているほか、カメラの光学ズーム倍率も引き上げられている。さて、最新モデルの「15」シリーズは「買い」なのか?
このところ「緩やかな変化」を続けているiPhoneだが、「15」シリーズも同様だ。大きなスペック変更としては、接続端子が独自規格のLightningから、汎用規格のUSB Type-Cに変更されたことだろう。USB Type-Cは「USB 3.x」規格でデータ伝送速度は最大20Gbpsと、「USB 2.0」規格だったLightningの最大480Mbpsの40倍を超える超高速伝送が可能になる。
もっとも、これは理論値で実際には上位モデルの「15 Pro」「15 Pro Max」でも10Gbps止まり。製品に付属するUSB Type-Cケーブルは「USB 2.0」仕様なので、480Mbpsが上限となる。10Gbpsのデータ伝送を実現するには、高速対応ケーブルを用意しなくてはならない。
下位モデルの「15」「15 Plus」では端末側が「USB 2.0」仕様なので、高速対応ケーブルで接続しても伝送速度はLightningと同じ480Mbpsのままだ。要は端子の形状が変わっただけで、実質的な性能は変わらない。ヘッドフォンやマイクといったLightning仕様の周辺機器を利用しているユーザーにとっては変換アダプタが必要になったり、利用できなくなったりというデメリットもある。
「15 Pro(Max)」はカメラのズーム機能が従来の3倍から5倍となり、ボデイに初めてチタンを採用して最も重い「Pro Max」で19gの軽量化を実現した。SoCも最新型に換装されているなど、そこそこ進化したモデルとなっている。アプリの動きをスムーズにするメモリも「iPhone13 Pro」以来、3モデルぶりに6GBから8GBへ増量した。
下位モデルの「15」「15 Plus」はSoCこそ「14 Pro」「14 Pro Max」と同じ「A16 Bionic」だが、前モデルの「14」「14 Plus」に比べると1世代進化した。カメラも1200万画素から4800万画素に強化されている。
一方で、変わっていない部分も少なくない。内部ストレージの最大容量は1TBで、2世代前のモデルと同じ。第5世代移動体通信規格(5G)の高速バージョンであるミリ波への対応も、4年連続で見送られた(米国など海外では「iPhone12」以降は対応済み)。国内のミリ波による通信は全モバイルトラフィックの0.2%程度しかないとはいえ、最新の通信規格に未対応なのは困りものだ。