「正露丸」の由来となった「あの国」とは?

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戦後は「商標権争い」に

大幸薬品は1954年に「正露丸(セイロガン)」の独占的使用権を主張して、商標登録を実施した。これに戦前から「正露丸」を製造する他の家庭薬メーカーが猛反発して、1955年に特許庁に無効審判を請求する。特許庁は1960年に申立不成立の審決を下して大幸薬品の商標登録を認めたことから、原告の同業者は東京高裁に審決取消訴訟を起こす。

東京高裁は1971年に「正露丸」は整腸剤の一般的な名称として国民に認識されていたと判断し、特許庁が下した審決を取り消し、商標登録を認めない判決を下す。同判決は1974年に最高裁で確定した。これを受けて特許庁が1975年に「正露丸(セイロガン)」の登録を無効とした。

ただ「セイロガン」の振り仮名のない「正露丸」の商標は認められており、大幸薬品が保持している。とはいえ最高裁判決で「正露丸」が普通名称であると認定されたことから、他社が「正露丸」の商標で販売しても、権利侵害には問われない。

実際、大幸薬品が「正露丸」を商標として使い、類似したパッケージの商品を販売しているとして和泉薬品工業に損害賠償を求めた裁判では、2006年に大阪地裁が請求を棄却。大幸薬品は同年に控訴したが、大阪高裁も一審判決を支持。2008年には最高裁で上告不受理となり、大幸薬品の敗訴が確定した。

現在は、大幸薬品と和泉薬品工業のほか、富士薬品や大阪医薬品工業、本草、キョクトウなどが「正露丸」の商品名で販売している。

文:M&A Online編集部

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