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業歴320年を誇る山形県唯一の百貨店「大沼」が破産

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※画像はイメージです

破産した老舗百貨店「大沼」、会見で「消費増税で資金繰りが悪化」と釈明

公開日付:2020.01.28

 業歴320年を誇る山形県唯一の百貨店「大沼」を運営する(株)大沼(TSR企業コード: 210002948)は1月27日、関連会社とともに山形地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。
 27日14時より大沼は「山形グランドホテル白鳥の間」で記者会見を開いた。席には、両社の代表取締役だった長澤光洋氏が立った。申請代理人等の姿はなく、長澤代表がひとりで対応する異例の展開となった。

 大沼は何回かの決済不調(デフォルト)を重ねていたが、長澤代表は「1月27日以降も決済が控えていた。そして、1月20日前後に資金繰りが無理とわかった」と述べ、謝罪した。だが、その準備をいつから始めていたかは語らなかった。
 長澤氏は、報道陣から破産申請に至った要因を尋ねられると、「2019年10月の消費増税や台風の影響により購買意欲が急激に落ちた」と回答した。その上で、「現金で買う顧客が減り、クレジット決済が多くなったため、日次の資金繰りに影響が出た」と、増税後の販売不振とクレジット決済の増加を理由にあげた。また、「(過去の決済不調で)大手を中心にこれまで月1回の支払いが、月2~3回へと条件を変更されたことも大きかった」と、信用低下の影響を付け加えた。
 破産申請タイミングを問われると、「(1月)27日から月末にかけ約4億円の支払債務があるが、とても履行できない」と資金枯渇を理由に挙げた。
 マイルストーンターンアラウンドマネジメント(株)(TSR企業コード:296291099、東京都、以下MTM)との関係について長澤氏は、「MTMの資金還流問題で資金繰りがおかしくなった」と述べ、MTMに責任の一端があるとの認識を示した。
 さらに、「実はMTMに招聘されて(社長に)就任した時、すでに社長を辞めようと思った。大沼の株式の流れが金融商品取引法関連に引っかかると思った。2019年6月以降は無理だと思っていたが、支援者から止められていた」と振り返った。事実上、経営に責任を持てない「代表取締役」だったと認めた格好だ。

 1月27日の破産開始決定で、大沼が発行した「全国百貨店共通商品券」と大沼友の会の「買い物券」は利用できなくなった。
 長澤氏は、「商品券の発行残高は約5億円。供託金で50%は保全される」と述べたが、顧客に大きな影響が出るのは避けられない。
 大沼の取引先の1社は、「大昔の繁栄を謳歌した頃のプライドを捨てきれなかった」との見解を示す。名門ホテルでの会見にプライドの片鱗をみたということだろう。
 「大沼」は県民に親しまれていた。だが、実態は時代に取り残され、過去の栄光にすがるだけの古い百貨店の姿がそこにあった。

‌会見する長澤光洋・代表取締役 東京商工リサーチ

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年1月29日号掲載予定「WeeklyTopcs」を再編集)

東京商工リサーチ「データを読む」より

東京商工リサーチ

世界最大2億件を超える国内・海外の企業情報を提供し、与信管理を支援する東京商工リサーチ(TSR)。長年の蓄積した企業情報データベースを活用し与信管理、マーケティング、調達先管理、海外企業情報に同社の情報を活用する企業は多い。 東京商工リサーチ:http://www.tsr-net.co.jp/


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山形銀行は第八十一国立銀行が源流で、その営業終了の際に両羽銀行が業務を継承し、両羽銀行は1965年に山形銀行と改称した。明治後期から昭和の中期までの両羽銀行時代は、まさにM&Aラッシュの時代だった。その躍進の背景には、同族経営があった。