法人格別の新設数では、株式会社が8万9,756社(構成比71.8%)で全体の7割を占めた。次いで、合同会社が2万2,053社(同17.6%)、一般社団法人が5,557社(同4.4%)、特定非営利活動法人(NPO法人)が2,540社(同2.0%)、医療法人が1,416社(同1.1%)と続く。
農事組合法人は750社(同0.6%)で新設数では第6位だが、前年(2014年)からの増加率は70.8%増(311社増)でトップだった。
2015年に設立された農事組合法人は750社(前年比70.8%増)だった。政府は地方の基幹産業である農業の成長産業化を推し進めている。2018年4月のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)発効を控え、農林水産省は農業経済力向上支援事業などを通じ、TPPで出現する人口8億人の巨大経済圏に食い込む「攻めの農林水産業」への転換を促している。
成長産業への転換には、法人化による経営規模の拡大が避けて通れない。ただ、法人数の増加には課題も多い。
6月2日に閣議決定した「日本再興戦略2016」には、2023年までに法人数を5万法人にまで引き上げると明記されている。農水省の農林業センサスによると、2010年の農業生産等を行う組織経営体の法人経営体数は1万2,511法人(うち農事組合法人は3,077法人)。2015年は1万8,857法人(農事組合法人数は、本発表時点では未公表)で着実に増加しているものの、5年間で6,346法人の増加に留まっている。
法人数の増加は、農事組合法人の新設以外に株式会社での農業分野への参入など様々な形態が想定されている。しかし、税制面での優遇措置のほか、集落営農や複数個別経営の法人化に最大40万円の補助金の支給など、手厚い支援策を用意している農事組合法人の新設数が現状程度で推移するようでは、5万法人への到達は非常に高いハードルだ。
今回の調査で、新設数が都道府県で大きな格差があることもわかった。耕作している作物によって経営規模の大型化や法人化の恩恵の度合いが違うとの指摘もあり、画一的な補助金だけではなく、地域特性を加味した支援体制の構築が急務になっている。
アサヒビールだけではない。2015年9月に締結されたJTによるNatural American Spiritの買収が記憶に新しいところだが、日本企業による海外大型買収最新5選を振り返る。