実際に判定を行う場合は、必ず条文等を確認し、実際の事例を具体的に当てはめ、各項目をチェックするようにしてください。会計事務所の担当者さんであれば、必ず所長先生や上司にチェックをしてもらいましょう。
組織再編については、一般的な日常の税務の知識とは雰囲気が異なる分野なので、知識の習得は少し大変かも知れません。
また環境によっては、すぐに回答してくれるような人が身近にいないケースもありますよね。税務署でも組織再編税制の専門部署は置いていません。(国税局にはあります。https://www.nta.go.jp/shiraberu/sodan/jizenshokai/... )
周りに教えてくれる人がいなければ、本に頼るのも一つです。
オススメは、「企業再編のための合併・分割・株式交換等の実務」 仰星監査法人(編著), 澤田 眞史 (監修) / 清文社 です。
本書は”会計”と”税務”そして“会社法”などにも触れられています。初版から版を重ねるごとに素晴らしい本になっています。力作、名著とも言えますが、更新が大変なようで、2012年以降は改訂版が出版されていないようです。しかし基本的な部分は非常に分かりやすく解説されており、実務的な視点で作られている良書ですので、参考になると思います。
もちろん、法律は毎年のように改正されていますから、最新の条文を確認するようにしてくださいね。
・オーナー企業同士、同族会社の合併では贈与税なども要注意です。(関連記事[贈与税] ウッカリ!?合併で贈与税が発生するケースもご参照ください。)
・印紙税や登録免許税などのコストもきちんと調べましょう。合併契約書にも印紙は必要です。
・不動産取得税について、合併による移転は非課税です。
http://www.tax.metro.tokyo.jp/shitsumon/tozei/inde...
・(税法上の話ではありませんが)後々、民事裁判等で訴えられないように、会社法上の手続き(特に債権者保護手続きなど)はきちんと行いましょう。登記という一面だけを考えると、これらを軽視する人もいるようですが、私はお勧めしません。
本件に限らず、組織再編税制を実務的にこなすためには、税制の理解はもちろん、「全体像を見る眼」と「些細なことを見る眼」の両方の視点が必要になります。つまり、森全体を見ることと、枝葉を見ること、両方が求められます。
今回は欠損金が引き継げるか否かについて、税法上の留意点を中心に解説しました。次回は適格合併(欠損金使用制限アリ・ナシ)・非適格合併の判定について解説したいと思います。(次回に続く)
[著]節税ヒントがあるかもブログ メタボ税理士さん [編集]M&A Online編集部
本記事は、「節税ヒントがあるかもブログ」に掲載された記事を再編集しております。
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前回・前々回に続き、節税ヒントがあるかもブログのメタボ税理士さんが[国税徴収法] 第二次納税義務について実際の判例を基にご紹介します。
IBMは過去に行った巨額の節税に関する訴訟で地裁、高裁と勝訴が続いている。どのような争点があるのだろうか。