M&A Online編集部が大量保有データベースで2022年5月の大量保有報告書などの提出状況を調べたところ、香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドが、エレベーターなどの昇降機メーカーであるフジテック株を2.44%買い増し、保有割合を9.73%(報告義務発生日は5月18日)に高めたことが分かった。
オアシスは2022年5月19日に、フジテックの内山高一社長が保有する法人にフジテックが莫大な額の現金を貸し付けていることや、フジテックが内山家の私的利用のために超高級マンションを取得した疑惑など、内山社長による8項目の権限濫用を指摘。そのうえで「定時株主総会で内山社長の再任に反対票を投じることを推奨する」としていた。
これに対しフジテックは5月30日に、外部の専門弁護士による調査などを踏まえ「法的にも、企業統治上も問題はない」との取締役会の決議を発表した。フジテックの定時株主総会は6月23日に滋賀県彦根市で開催される予定。
このほかフジテック株については、投資会社のティー・ロウ・プライス・ジャパンが2度売却(3.48%)し、保有割合を4.68%に引き下げたほか、三井住友信託銀行も1.53%売却し6.31%に引き下げた。
任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」(YFO、東京都港区)の傘下で、ケイマン諸島の投資会社WK 1 Limitedが、4月に11度買い増し、保有割合を26.28%にまで高めていた東洋建設株を、さらに0.91%買い増し、保有割合を27.19%(報告義務発生日は5月17日)に高めた。
東洋建設については前田建設工業を中核とするインフロニア・ホールディングスがTOB(株式公開買い付け)を進めていたが、5月20日に不成立に終わったと発表している。
米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下で吊り具メーカーの米クロスビーグループ(オクラホマ州)と経営統合することで合意したキトーについては、オーストリアの資産管理会社のタドラナ・マネジメント・ウンド・アセット・ゲーエムベーハーが1.05%買い増し、保有割合を9.11%にしたほか、投資会社のみさき投資も1.51%買い増し、保有割合を11.05%に引き上げた。
2022年5月の大量保有報告書の提出件数は759件で、このうち保有割合を増やしたのが195件、新規保有が103件、保有割合を減らしたのが392件、契約の変更などが69件だった。
文:M&A Online編集部
セールスフォース・ドットコムが、フレクト<4414>の株式を新規取得した。保有割合は 7.22%。提出理由は「資本業務提携に関する合意に基づく株式の保有」によるもの。