次々と露呈する日本企業の不祥事を止めるには

このような状況に日本政府も手をこまねいているわけではない。安倍内閣の下で金融庁は2015年、新しいコーポレートガバナンス・コードを導入した。独立した社外取締役の採用は特に推奨されている。

しかしながら、これらの新たな独立取締役が、今回の研究で見出されたような有益性を企業にもたらしているかには疑わしさが残る。この観点から金融庁は、機関投資家が企業の経営改善を促すよう「スチュワードシップ・コード」を導入した。

もちろん、こうした政府の旗振りが成果を上げるには時間がかかるだろう。しかし官僚たちは権力の上にただ座しているわけではない。金融庁は新しいマーケットへの進出を企業に求め、M&Aを促し、高齢化した経営者にはもっと若いリーダーに企業経営を譲るべきだと奨励している。

独立社外取締役選任上場会社(市場第一部)の比率推移
東証「取締役会関連 参考データ」P.6より

コーポレートガバナンス見直しの目的は、不祥事やスキャンダルの予防だけではない。海外メディアがそろって指摘しているとおり、企業の生産性向上のためでもある。高齢化、人口減少など問題山積の日本が経済成長を続けていくためには、経営慣行のたゆみない見直しが必要であり、機関投資家や独立取締役がキーマンとして果たすべき役割が期待される。

金融庁等は、日本企業刷新のため正しい歩みを進めている。利益率向上や独立取締役の増加は、これまで閉塞していた機能が正常化しつつあることの表れである。神戸製鋼のようなスキャンダルが古い秩序の終焉を告げるものであることを願う。

翻訳・文:Yuu Yamanaka

<参考文献>
・論文「Enjoying the Quiet Life: Corporate Decision-Making by Entrenched Managers」(原文は英語)
・論文サマリー 全米経済研究所(NBER)
・HBR  ハーバードビジネスレビュー(JANUARY 09, 2018)
・CNN http://money.cnn.com/
・Bloomberg https://www.bloomberg.com/

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