中小企業関連の新たな研究会が発足「中小企業収益力改善支援研究会」

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中小企業庁は8月31日、有識者による「中小企業収益力改善支援研究会」(座長・家森信善神戸大学経済経営研究所教授)を発足した。再生フェーズに陥ったと判断される中小企業に対する伴走支援や、事業承継時のネックにもなっている経営者保証の解除を促すための取り組みなどを論議する。

長引くコロナ禍を乗り越える対応策を

新型コロナウイルスの影響が長期化する中、増大する債務に苦しむ中小企業の増加が指摘されている。こうした中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジを促すため、中小企業庁は2022年3月に「中小企業活性化パッケージ」を策定したが、より実効性のある支援の展開と質の向上が課題となっている。

同日の初会合では、事業者が再生フェーズに陥る前の活用を想定した「収益力改善支援の実務指針」を策定するべきかといった論点を共有。再生フェーズへの移行が必要とみられる場合は中小企業活性化協議会による再生支援の利用や、国の「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の活用を提案する必要性も確認した。

円滑な事業承継の阻害要因になっている経営者保証

また、金融機関が経営者保証に依存しない融資の促進を図る必要性にも着目。全国銀行協会と日本商工会議所は同様の目的に沿った「経営者保証ガイドライン」を策定済みだが、取引先の金融機関からガイドラインの内容について説明を受けたことがないと答えた事業者が7割近くに達している。

2022年度に始まった国の「早期経営改善計画支援事業(ポストコロナ持続的発展計画事業)」では、経営者保証を提供している事業者が保証をなくすために金融機関と交渉する際の弁護士費用などを補助しているが、6月末時点の経営者保証解除枠の利用はわずか1件にとどまっている。

全国48カ所の事業承継・引継ぎ支援センターには、事業承継時の経営者保証解除を支援する金融機関出身者などの経営者保証コーディネーター(CO)が常駐。ただ、ガイドラインの要件などを踏まえたチェックシートを充足していると経営者保証CO自身が認識したのに経営者保証が解除されなかったケースは12.1%に上る。

こうしたことから、新たな研究会では事業承継時以外にもサポートを広げることを検討する方向。事業者の経営規律を確保するためのガバナンス強化を目指しつつ、金融機関の実務などに合わせたチェックシート項目の見直し・再設定も模索する。

経済産業省は2023年度予算概算要求で創業時の経営者保証を不要とする信用保証制度の創設を打ち出しており、平時と廃業時を含めた支援が効果を上げれば事業承継時の経営者保証解除が進むことも期待される。

コロナ関連破たんの9割が消滅型の破産

東京商工リサーチの調べによると、新型コロナ関連の経営破たんは8月末時点で4,168件に達し、19カ月連続で100件を突破。半数超は負債額1億円未満だが、約9割を消滅型の破産が占める。会社更生法と民事再生法に基づく再建型は1割未満に過ぎず、M&Aによる第三者の支援も活発化させる方策が急務となっている。

文:M&A Online編集部

関連リンク:中小企業庁:中小企業収益力改善支援研究会(第1回) 配布資料 (meti.go.jp)

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