【2023年上半期】日本企業M&A公表案件ランキング

alt

日本M&Aレビュー 2023年 上半期|フィナンシャル・アドバイザー

日本M&A案件 情報概要

日本関連M&A 17%増加 11兆円

2023年上半期(1-6月期)の日本企業が関与するM&A公表案件は総額10.8兆円と前年同期比17.2%増加し、2018年以来の高水準となった。1,000億円超の案件は総額7.3兆円となり、上半期ベースで37.3%増となった。案件数は合計21件、そのうち11件が国内案件となった。日本関連M&A全体の案件数は2,347件で微増となった。

ハイテクノロジーが首位 ヘルスケアは535%増加

被買収側企業の業種別で見ると、取引総額が最も高かったのはハイテクノロジーで、総額3.2兆円となった。前年と比較すると、上半期ベースで32.2%増加し、市場シェアは29.8%となった。2位は原料、材料で、前年同期比307.9%増の1.6兆円に達し、15%を占めた。3位はヘルスケアで、総額1.2兆円となり、前年同期比535.4%増となった。

バイサイド フィナンシャル・スポンサー アクティビティ 118%増加

日本企業を対象とした、買収側フィナンシャル・スポンサーが直接関与するM&Aアクティビティ(海外・国内案件を含む)は、日本企業関連の32.1%を占めた。その総額は前年から118.1%増加の3.5兆円と、1-6月期ベースで1980年の集計開始以来過去最高となった。一方、案件数は、合計546件で前年同期比9.8%減少した。

国内案件 76%増加 IN-OUT案件 31%増加 OUT-IN案件 67%減少

国内案件は、総額6.8兆円と前年同期比76.1%増加し、2005年に次いで歴代2位の高水準となった。4-6月期で見ると、産業革新投資機構の傘下であるJICキャピタルが運営する、JICC-02によるJSR買収案件(1兆56億円)、ケネディクス投資法人関連の案件がこれに含まれる。前述のJSR取得案件は、国内の化学関連では過去最大の規模。ケネディクス・オフィス投資法人によるケネディクス・レジデンシャルネクスト投資法人とケネディクス商業リート投資法人の吸収合併案件は、総額6,526億円にのぼり、国内の不動産セクターの株式取得関連で歴代2位の規模となった。IN-OUT案件は、前年同期比31.4%の増加となる総額3.1兆円、2年ぶりの高水準となった。今期3位にランクインした、アステラス製薬の米国持株子会社、アステラス US ホールディングによる米アイベリック・バイオ買収案件(7,244億円)は、バイオテクノロジー関連では過去2番目の規模となった。日本エクスプレス欧州による、貨物輸送サービスを提供する、カーゴ・パートナーの子会社(63社)買収案件(2,055億円)は、オーストリア出資案件としては過去最大となった。

サステナブルファイナンスM&Aアクティビティ 168%増加

サステナブルファイナンス関連のM&Aアクティビティは、総額7,357億円と前年同期比168.2%増加し、2年ぶりの高水準となった。4-6月期では、NTTアノードエナジーとJERAによるグリーンパワーインベストメント買収案件(3,000億円)、三井住友銀行、アジアインフラ投資銀行(AIIB)およびインターミディエイト・キャピタル・グループ(ICG)による印の再生エネルギー発電会社、Amp エナジーインディア出資案件(348億円)が公表された。

トップアドバイザーは西村あさひ法律事務所

2023年上半期の日本関連公表案件ベースのM&Aリーグテーブルは、西村あさひ法律事務所が総額3.7兆円、74件で金額および案件数ベースの両ランキングで首位となった。金額ベースでは前年同期は2位、案件数ベースでは2連覇となった。

日本M&Aランクバリューの構成比(兆円)

日本M&Aランクバリュー構成比の図
©リフィニティブ

日本企業を対象とする フィナンシャル・スポンサー・アクティビティー(億円)

フィナンシャル・スポンサー・アクティビティの図
©リフィニティブ

日本M&A 上位案件ランキング

順位 ランク日 被買収側企業 被国籍 ランクバリュー 億円 買収側企業 買国籍
1 3/23 東芝 日本
21,152.3
TBJH(日本産業パートナーズ) 日本
2 6/26 JSR 日本
10,056.6
JICC-02(産業革新投資機構) 日本
3 4/30 アイベリック・バイオ 米国
7,244.0
アステラスUSホールディング 米国
4 6/13 ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 日本
3,718.8
ケネディクス・オフィス投資法人 日本
5 1/31 DHC 日本
3,000.0
オリックス 日本
6 5/16 グリーンパワーインベストメント 日本
3,000.0
投資家グループ 日本
7 6/13 ケネディクス商業リート投資法人 日本
2,808.0
ケネディクス・オフィス投資法人 日本
8 2/10 ジャパンディスプレイ 日本
2,602.4
いちごトラスト 日本
9 3/22 パークウィンド ベルギー
2,211.1
JERA 日本
10 5/12 カーゴ・パートナー子会社(63社) オーストリア
2,055.7
日本エクスプレス 欧州 ドイツ

出典:Refinitiv(リフィニティブ)

(注)公表案件ベースのリーグ・テーブル・ランキングは、リフィニティブが認識している2023年1月1日から2023年6月30日の期間に公表された案件を対象としており、今期および昨年の全てのデータは、日本時間2023年7月3日午前10時に抽出したものである。ランキングにおける取引金額はすべて日本円で表示され、不動産案件は除外している。リーグテーブル対象となるのは、合併、買収、市場を介さない自己株式取得、スピンオフ、公開買付による自社株買い、少数株主持ち分(50%以下)の株式取得、及びデット・リストラクチャリング案件である。公開買付・合併案件は、その案件が完了した日付をもって有効と見なす。取引金額のついていない場合も対象案件となり、その場合取引金額は表示されない。

本記事は、LSEG:Refinitiv 「日本M&A リーガル・アドバイザリー・レビュー」より許可を得て一部掲載しています。
その他のランキングはこちら

NEXT STORY

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5