昨年来、武田薬品工業<4502>によるシャイアー(アイルランド)の買収、日立製作所<6501>によるABB社(スイス)のパワーグリッド事業の買収など日本企業による大型買収が目立ちました。

こうした大型買収は世界規模の売上高ランキングや業界シェアにも影響を与えます。ただし、M&Aを実施すれば必ず売上高が増加すると考えるのは早計といえるかもしれません。今回はM&Aと売上高の関係について考えてみることにしましょう。

「単体売上」か「連結売上」かを意識する

売上高を考える場合には、それが個別財務諸表上の売上高を指しているのか、連結財務諸表上の売上高を指しているのか明確にしておく必要があります。

対象企業の株式を取得することにより新たに連結の範囲に含まれることになった場合、すなわち連結子会社が増加した場合には、個別財務諸表上の売上高(親会社単体の売上高)は増加しませんが、連結財務諸表上の売上高(連結グループ全体の売上高)は増加することになります。

また、期の途中で買収した対象企業の売上高がどのように連結売上高に取り込まれるのかについて意識しておくことも有用です。例えば、3月決算の会社が対象会社を10月31日に子会社化した場合、連結初年度において1年間の売上高を丸々取り込むのか、あるいは部分的に取り込むのかという問題です。

「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)によると、連結財務諸表の作成は支配獲得日から行うことになっています。そのため、連結初年度においては、子会社の売上高を始めとする収益や費用は11月から3月末までの5か月分を連結財務諸表に取り込むことになります。

ただし、企業の事務負担に配慮して、支配獲得日が子会社の決算日以外の日である場合には、支配獲得日の前後いずれかの決算日に支配獲得が行われたものとみなして処理できることになっています。つまり、第2四半期末にあたる9月30日や第3四半期末にあたる12月31日をみなし取得日として、それ以降の売上高(6か月分あるいは3か月分の売上高)を取り込むという処理も認められます。