連結会計におけるM&A仕訳を全8回にわたって解説しています。本稿はその第7回目に当たります。今回のテーマとなっている会社分割は事業再編で頻繁に活用される手法ですが、その態様や当事者の組み合わせは多岐にわたります。

このような会社分割を連結グループ内の子会社などが行った場合、連結会計にはどのような影響を与えるのでしょうか。まずは会社分割の概要と単体企業における会計処理を確認した後に連結仕訳への影響を確認してみましょう。

会社分割の種類とは?

会社分割とは、会社が事業の一部または全部を他の会社に包括的に承継させる手法です。会社分割は、既存の会社に事業を承継させる「吸収分割」と新設した会社に事業を承継させる「新設分割」に区分することができます。会社分割を活用すると、例えば甲事業と乙事業を営むA社が主力でない乙事業をB社に「吸収分割」させるようなことが可能です。

典型的な会社分割では事業を承継した会社が対価として株式を交付することになります。この株式を分割元の会社に交付する場合を「分社型分割」、分割元の会社の株主に交付する場合を「分割型分割」と呼びます。

例えば、新設した会社に「分社型分割」で事業の一部を承継させる方法を採れば、特定の事業を切り離して100%子会社化することが可能となります。これは上述の「新設分割」かつ「分社型分割」のケース、つまり「新設分社型分割」にあたります。

なお、会社分割の対価には柔軟性があります。株式を交付するのが典型的な会社分割ですが、その他の財産を交付することもできます。例えば金銭を交付することも可能です。この場合、承継会社からすると、お金を払って事業を買っているような格好になります。

会社分割の会計処理は?

会社分割が行われた際の個別会計上の仕訳は「【M&A仕訳】会社分割の会計処理」ですでに紹介しています。少し復習になりますが、連結上の仕訳を考える前提として、会社分割の個別会計上の処理を確認してみましょう。

ここでは、資本関係のない会社に一部の事業(簿価は100(=資産270-負債170)、時価は120(=資産290-負債270))を会社分割し、その会社から対価として同社株式(時価120)の交付を受けた場合を想定します。

<吸収分割における分離元会社の会計処理>

(投資有価証券)120

(資産)270

(負債)170

(移転損益)20

この場合、承継先の会社が事業を取得したものと考え、資産や負債は時価で移転したものとして会計処理を行います。つまり、分離元会社から見ると資産および負債の移転損益が発生します。これは会社が固定資産を売却した時に固定資産売却損益が発生するのにも似ています。