合併するための条件として不採算の工場などを閉鎖することが合意される場合があります。従業員を他の事業所などに上手く配置替えできる場合もありますが、いわゆるリストラを伴うケースも想定されます。このようなケースにおいては合併後の決算にどのような影響が生じるのでしょうか。合併時の会計処理の基本にも触れながら紐解いてみたいと思います。

合併時の原則的な会計処理とは?

合併は2つ以上の会社が結合することを意味します。そのため、合併が行われると、それぞれの会社の資産や負債などの会計数値が合算されます。その際、資産や負債を時価評価する場合と簿価(もとの会社における帳簿上の価額)のまま引き継ぐ場合があります。

通常、企業グループ内の子会社同士が合併するような場合には資産や負債を簿価のまま引き継ぎますが、企業グループ外の会社を吸収合併するような場合には相手企業の資産や負債を時価評価します。つまり、共通の支配関係にある会社が合併した場合は簿価引継ぎ、新たに他企業を取り込むような場合には時価評価というのが原則的な処理になります。

合併後に費用や損失が発生することが予想される場合

それでは、合併後に不採算の工場を閉鎖して従業員に対して割増退職金などが支給されるケースでは会計上どのような影響が生じるのでしょうか。この点に関して、合併などを含む企業結合の会計処理を定めた企業結合に関する会計基準の第30項では「取得後に発生することが予測される特定の事象に対応した費用又は損失であって、その発生の可能性が取得の対価の算定に反映されている場合には、負債として認識する」と規定されています。

つまり、リストラ費用として割増退職金がたとえば5億円発生することが確実となっており、合併の対価も将来5億円の負担が生じることを前提に決定されている場合には、このリストラ費用の相当額を負債として計上することになります。

この負債は「企業結合に係る特定勘定」と呼ばれ、貸借対照表の固定負債の区分に計上されます。有価証券報告書などにおける表示方法の指針となる財務諸表等規則ガイドラインの56によると、企業結合に係る特定勘定には「例えば人員の配置転換や再教育費用、割増(一時)退職金、訴訟案件等に係る偶発債務、工場用地の公害対策や環境整備費用、資産の処分に係る費用など特定の事象に対応した費用又は損失が含まれる」となっています。