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【M&A仕訳】第三者割当増資(連結会計編)

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第三者割当増資が行われた場合の連結仕訳は?

上記のような仕訳からもわかるように、第三者割当増資は、株式を取得するという意味においては、既存の株式を購入した場合と類似しています。

それでは、上記の二つの仕訳がちょうど表裏の関係となっている場合を想定してみます。つまり、一方の会社が他方の会社の第三者割当増資(100)に応じて、議決権比率60%の親子会社関係ができた場合です。

これは連結仕訳でいうと、投資と資本の相殺消去という基本的な仕訳に関係してきます。連結財務諸表は企業グループ全体を一つの会計単位としています。そのため、グループ内の取引は相殺消去されるのが原則です。このことは資本取引についても同様です。

企業グループの観点では、親会社が有する「子会社株式」と子会社における「資本金」や「資本準備金」は、あくまでグループ内の取引により生じたものとして消去されます。具体的な連結仕訳としては下記のようになります。

第三者割当増資が行われた場合の連結仕訳>

借方

貸方

(資本金)50

(資本準備金)50

(子会社株式)100

なお、単体の仕訳では払い込まれた現金100が登場しましたが、これは親会社側から子会社側に移動した資金であり、グループとしては現金100を保有していることに変わりはないため、連結上の仕訳を必要としません。

以上、全8回にわたって連結仕訳を紹介してきました。M&Aに関連するところでは純資産の処理が論点になることが多いといえます。シンプルな例を取り上げてきましたが、実際には段階的に株式を取得した場合はどうなるのか、累積されてきた剰余金をどのように考えるべきなのかなど多様な論点が存在します。このシリーズを機会に連結財務諸表の作成過程に興味を持っていただけたなら幸いです。

文:北川ワタル

  全体像 株式 取得 事業 譲渡 株式 交換 株式 移転 合 併 会社 分割 第三者 割当増資
個別会計 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回
連結会計 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回
税務 - - - - - - - -

北川 ワタル

経歴:2001年、公認会計士2次試験合格後、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。マネージャー及び主査として各フィールドワークを指揮するとともに、顧客セミナー、内部研修等の講師 、ニュースレター、書籍等の執筆にも従事した。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップの支援からグループ会社の連結納税、国際税務アドバイザリーまで財務会計・税務を中心とした幅広いサービスを提供。

学歴:武蔵野美術大学造形学部通信教育課程中退、同志社大学法学部政治学科中退、大阪府立天王寺高等学校卒業(高44期)

出版物:『重要項目ピックアップ 固定資産の会計・税務完全ガイド』税務経理協会(分担執筆)、『図解 最新 税金のしくみと手続きがわかる事典』三修社(監修)、『最新 アパート・マンション・民泊 経営をめぐる法律と税務』三修社(監修)など

北川ワタル事務所・株式会社ダーチャコンセプトのウェブサイトはこちら


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「第三者割当増資」とは、売り手企業が買い手企業に対して新たに株式を発行し、引き受けてもらう手法です。新株引受ともいいます。経営に一部参加したいときに行うM&Aの手法です。